見た目がグッと良くなる!デザインの『整列』やさしく解説【SNS・資料編】
デザインされたものを見たときに、「なんかまとまって見えるな」「ごちゃついてないな」と感じることはありませんか?反対に、「読みにくいな」「どこを見ればいいんだろう」と感じることもあるかもしれません。
その違いを生み出す重要な要素の一つに、「整列(Alignment)」があります。デザインの専門知識がない方でも、この「整列」を少し意識するだけで、あなたの作成する資料、SNS投稿、簡単なバナーなどが劇的に見やすくなります。
この記事では、デザインの基本的な原則である「整列」について、非デザイナーの方向けに極めて分かりやすく解説します。なぜ整列が重要なのか、具体的な使い方のヒント、そして日々の業務にどう活かせるのかを、具体的な例を交えてご紹介します。
デザインの「整列」とは、要素を「揃える」こと
デザインにおける「整列」とは、ページや画面上の文字、画像、図形などの要素を、何らかの「基準線」に沿って配置することです。
想像してみてください。会議の資料で、タイトルと本文がバラバラな位置にあったり、箇条書きの行頭がガタガタだったりしたら、どう感じるでしょうか?おそらく、内容に集中しづらく、整理されていない印象を受けると思います。
一方、タイトルがページの左端に揃っていて、本文も同じ左端から始まっており、箇条書きの点も綺麗に揃っている資料はどうでしょうか?内容が頭に入ってきやすく、作成者が丁寧に作った資料だと感じられるはずです。
この「揃える」という行為が、「整列」の基本的な考え方です。
なぜ「整列」がそれほど重要なのか?
整列は単に見た目を綺麗にするためだけではありません。デザインを見る人に以下のような効果をもたらします。
-
情報の整理と理解の促進:
- 要素が揃っていると、それぞれの要素が互いにどういう関係にあるのか(見出しと本文、画像とキャプションなど)が直感的に分かりやすくなります。
- 視線の動きがスムーズになり、情報が塊として認識しやすくなるため、内容の理解が早まります。
-
視覚的な安定感と信頼感の醸成:
- 整然と並んだデザインは、見る人に安心感や信頼感を与えます。
- 反対に、バラバラな配置は不安定で、内容の信頼性を損なう可能性もあります。「この資料、本当に大丈夫かな?」と感じさせてしまうかもしれません。
-
プロフェッショナルな印象:
- 整列は、細部への配慮や丁寧さを示します。これにより、作成物全体がプロフェッショナルで質の高いものであるかのような印象を与えます。
主な整列の種類を理解する
整列にはいくつか基本的な種類があります。これらを知っておくと、デザインの意図をより深く理解できたり、デザイナーとのコミュニケーションがスムーズになったりします。
-
左揃え(Left Alignment):
- 要素の左端を基準線に揃える方法です。
- 日本語のように左から右に読む言語の文章に最も適しており、自然で読みやすい流れを作ります。
- ウェブサイトの本文や資料の多くのテキストはこの方法で整列されています。
-
右揃え(Right Alignment):
- 要素の右端を基準線に揃える方法です。
- 左揃えほど一般的ではありませんが、特定の要素(例:画像の右にキャプションを添える、表の数値データを揃える)にアクセントをつけたり、右端を揃えることで全体のバランスをとったりするのに使われます。長文のテキストにはあまり向きません。
-
中央揃え(Center Alignment):
- 要素の中心線を基準線に揃える方法です。
- タイトル、キャッチコピー、短い詩や引用など、注目を集めたい要素によく使われます。
- デザインにフォーマルさや落ち着き、シンメトリーな美しさを与える効果がありますが、長文を中央揃えにすると、行の始まりがバラバラになるため非常に読みにくくなります。
-
均等割付(Justify Alignment):
- 行の左右両端を基準線に揃える方法です。行間に自動的にスペースが挿入されて調整されます。
- 雑誌や新聞などの印刷物でよく見られます。テキストがブロック状になるため、見た目は整いますが、単語間のスペースが不均一になりやすく、ウェブなどではかえって読みにくく感じられることもあります。
それぞれの整列方法には特徴があり、何を揃えるか、どこに配置するかによって使い分けることが大切です。
日々の業務に活かす!具体的な整列の適用例
では、具体的にあなたの業務に「整列」をどう活かせるでしょうか。
例1:プレゼン資料や社内ドキュメント
PowerPointやWordで資料を作成する際に、以下の点を意識してみてください。
- タイトルと本文: タイトルを左揃えにするなら、本文も同じ左の基準線から始める。
- 箇条書き: 箇条書きの行頭の「点」や「数字」の位置、そして本文の開始位置をすべて揃える。
- 図や写真: 複数の図や写真を並べる場合、上端、下端、あるいは中央のどれかに揃える。テキストと図を並べる場合は、テキストの行頭と図の左端を揃えるなど。
- 表: 表内のテキストや数値は、その内容に合わせて左揃え、中央揃え、右揃えを適切に使い分ける(例:項目名は左揃え、数値データは右揃え)。
【悪い例(イメージ)】 * タイトルがページの真ん中あたりから始まり、本文はもう少し右から、箇条書きは行ごとに始まりがずれている。 * 貼り付けた写真が、ページの端とも他の要素とも関係なく、なんとなく置かれている。 * 全体的に線がガタガタしている印象。
【良い例(イメージ)】 * タイトル、本文、箇条書きが全てページの左端から数センチの位置で縦に綺麗に揃っている。 * 並べた図や写真は、全て同じ高さ(例えば中央)で横一列に揃っている。 * テキストボックスや図形が、他の要素の端にピタッと揃えられている。 * 全体的にスッキリとしていて、視線が自然に流れる。
例2:SNS投稿画像やバナー広告
CanvaなどのツールでSNS投稿用の画像や簡単なバナーを作成する際にも、整列は非常に重要です。
- テキストと画像の配置: 写真の上に文字を載せる場合、文字のブロック全体を画像の端(左端、右端、中央)に揃える。
- 複数の要素(アイコン、テキスト、ロゴ): これらを組み合わせて配置する場合、それぞれの左端、右端、上端、下端、または中央を揃える。
- ボタン: ボタンのテキストは中央揃えにし、ボタン自体も他の要素(例:キャッチコピー、商品の画像)に対して中央や端に揃えて配置する。
【悪い例(イメージ)】 * 画像の上に乗せたテキストが、左端も右端もバラバラで、中央にも揃っていない。 * アイコンとテキストが並んでいるのに、それぞれの中心線や下端がずれている。 * ロゴが他の要素と関係なく、なんとなく空いているスペースに置かれている。
【良い例(イメージ)】 * キャッチコピーは中央揃えで配置し、その下の商品の画像もページの中心に揃えられている。 * 箇条書き形式のテキストは、左端がピタッと揃っている。 * 画面の右下にあるロゴは、画像の右端と下端にピタッと揃えられている。 * 要素同士の間に見えない線が通っているかのように整然としている。
実践のためのヒント
デザインツールには、整列を助けてくれる便利な機能がたくさんあります。
- ガイド線やグリッド: 要素を動かす際に表示される補助線(他の要素の端や中央にピタッと吸い付く線)を活用しましょう。
- 整列機能: 複数の要素を選択して、「左揃え」「中央揃え」「上端揃え」などのボタンをクリックするだけで、要素を一瞬で揃えることができます。この機能をぜひ活用してください。
- テンプレートの活用: 整列がしっかり考えられているデザインテンプレートをベースに作成するのも有効な手段です。テンプレートを修正する際も、「どこが揃っているか」を意識すると、質の高いデザインを維持できます。
まずは、今作成している、あるいはこれから作成する資料やSNS投稿で、意識して「揃える」という作業を加えてみてください。テキスト、画像、図形など、全ての要素を「どこかに」揃えることを心がけるだけで、デザインの見栄えは大きく向上します。
デザイナーとの連携に活かす
あなたがデザインの発注者やディレクションをする立場であれば、整列に関する基本的な用語を知っておくと、デザイナーとのコミュニケーションが円滑になります。
例えば、「この要素を左揃えでお願いします」「この画像とこのテキストブロックは、上端を揃えて配置してください」「ボタンは中央揃えで良いでしょうか?」のように具体的に指示できるようになります。曖昧な指示がなくなり、意図が正確に伝わるため、手戻りを減らし、よりスムーズに作業を進めることができます。
まとめ
デザインの「整列」は、要素を特定の基準線に沿って配置する、非常に基本的でありながら絶大な効果を持つデザイン原則です。
整列を意識することで、あなたの作成するデザインは単に見た目が綺麗になるだけでなく、情報が整理されて伝わりやすくなり、見る人に安心感と信頼感を与え、プロフェッショナルな印象を与えることができます。
難しい知識は必要ありません。まずは日々の業務で、作成する資料やSNS投稿の文字や画像、図形を「どこかに揃える」ということを意識してみてください。左揃え、中央揃え、右揃えなど、用途に合わせて使い分けることで、あなたのデザインは驚くほど見違えるはずです。
少しの意識と工夫で、あなたのメッセージがより効果的に伝わるデザインをぜひ実現してください。