デザイン原則やさしく解説

色が伝えるメッセージとは?ビジネスに活かすデザインの『配色』【非デザイナー向け】

Tags: 配色, カラー, デザイン原則, ビジネスデザイン, 非デザイナー

デザインにおける色は、単なる装飾ではありません。言葉よりも早く、見る人に感情や情報を伝える強力なツールです。しかし、「どう配色すればプロっぽく見えるのか」「このデザインにはどんな色を選べば良いのか」と悩む非デザイナーの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、難しく捉えられがちな「配色」について、基本的な考え方から、ビジネスシーンで役立つ実践的なコツまでを、分かりやすく解説します。この記事を読めば、日々の資料作成やSNS投稿、広告クリエイティブなどで、色の力を活かせるようになります。

なぜ配色は重要なのでしょうか?

デザインにおける配色の重要性は、主に以下の2点にあります。

  1. 情報伝達のスピードと効率: 色は、形や文字よりも早く認識されます。信号の色が良い例ですね。赤は「止まれ」、青は「進め」といったように、瞬時に意味を伝えます。ウェブサイトのボタンの色や、資料の強調したい文字の色など、色は重要な情報へ誘導する役割を担います。
  2. 感情や印象の喚起: 色は人の心理に強く影響を与えます。例えば、青は信頼感や落ち着き、赤は情熱や緊急性を連想させやすい色です。ターゲット層や伝えたいメッセージに合わせて色を選ぶことで、受け手に意図した通りの印象や感情を与えることができます。

ビジネスにおいては、ブランドイメージの構築、商品の魅力の訴求、情報の分かりやすさ向上など、様々な場面で配色の力が不可欠です。

配色の基本:「色の三属性」を知る

複雑な配色理論を学ぶ前に、まずは色の基本的な性質を知っておきましょう。色は「色相」「明度」「彩度」という3つの要素で成り立っています。これらを「色の三属性」と呼びます。

これらの三属性を意識することで、「単に好きな色を選ぶ」のではなく、「意図を持って色を選ぶ」第一歩になります。

ビジネスシーンで役立つ配色の考え方

色の三属性を理解したら、次に実際のデザインでどのように活かすかを考えてみましょう。ビジネスシーンで特に重要なのは、以下の3点です。

  1. ブランドイメージとの統一: 企業のロゴやウェブサイトで使われている「ブランドカラー」を意識しましょう。資料やSNS投稿でも一貫してブランドカラーを使用することで、信頼感と認知度が高まります。「この色は〇〇社だ」とすぐに認識してもらえるようになります。
    • なぜ統一が必要か: 色の反復(繰り返し)は、視覚的な一貫性をもたらし、見る人に安心感や信頼感を与えます。また、ブランドの認知度向上にも大きく貢献します。
  2. ターゲット層への配慮: 誰に向けて情報発信をするのかによって、最適な色は異なります。
    • 例えば、若い女性向けのコスメの広告であれば、パステルカラーや明るく鮮やかな色合いが好まれるかもしれません。一方、ビジネス向けの金融サービスの広告であれば、青や緑などの落ち着いた、信頼感のある色が適しているかもしれません。
    • なぜターゲットへの配慮が必要か: 色の持つ心理効果は文化や年齢層によって異なります。ターゲットが心地よく感じ、メッセージを受け入れやすい配色を選ぶことが重要です。
  3. 情報の重要度に応じた配色: デザインにおける「コントラスト」や「階層」の原則と組み合わせて色を使いましょう。最も伝えたい見出しやボタンなどは、背景色から浮き立つようなコントラストの高い色(例:白背景に濃い青、またはアクセントカラー)を使用します。一方、本文や補足情報などは、落ち着いた色合いで視線を誘導します。
    • なぜ重要度に応じた配色が必要か: 色の明度や彩度の差(コントラスト)は、視線の誘導に役立ちます。重要な情報を目立たせることで、読者は短時間で必要な情報を見つけやすくなります。

実務での配色応用例

具体的なシーンでの配色応用を考えてみましょう。

これらの例からも分かるように、配色は「なんとなく」ではなく、「なぜこの色を選ぶのか」という理由を持って行うことが大切です。

デザイナーとの連携に活かす

色の三属性や基本的な配色の考え方を知っておくと、デザイナーさんとのコミュニケーションもスムーズになります。

例えば、「このバナー、もっと元気な感じにしたいです」と伝えるよりも、「この要素の彩度を上げて、背景とのコントラストを強くしてもらえますか?」と具体的に伝えたり、「ブランドイメージに合わせて、青系の類似色相で落ち着いた雰囲気にまとめたいです」といったように、共通の言葉で話すことができるようになります。

これにより、指示の意図が正確に伝わり、手戻りを減らすことにも繋がるでしょう。

まとめ:配色を味方につけよう

デザインにおける配色は、見る人に与える印象や、情報の伝わりやすさを大きく左右します。色の三属性(色相、明度、彩度)という基本的な考え方と、ビジネスシーンでの「ブランド」「ターゲット」「情報の重要度」といった視点を持つことで、非デザイナーの方でも意図を持った色選びができるようになります。

難しく考えすぎる必要はありません。まずは、ご自身の会社のブランドカラーを意識することから始めてみたり、既存の魅力的なデザインがどのような配色をしているのかを観察してみることから始めたりするのも良いでしょう。

色の持つ力を理解し、適切に活用することで、あなたの作るSNS投稿や資料は、より多くの人に正確に、そして魅力的にメッセージを届けられるようになるはずです。ぜひ、今日から配色を意識してみてください。