SNS投稿・資料に統一感を出す!デザインの『一貫性』やさしく解説【非デザイナー向け】
バラバラなデザインにサヨナラ!「一貫性」でプロっぽい見た目と信頼感を手にいれる
日頃、SNS投稿用の画像を作ったり、プレゼン資料を作成したり、社内向けの案内を作成したりする中で、「なんとなくデザインがバラバラになってしまう」「前の資料と全然違う雰囲気になってしまった」と感じることはありませんか。
デザインの専門知識がなくても、日常的にビジュアル作成に関わる機会は増えています。その際に直面しやすい課題の一つが、「統一感がない」ということです。
デザインに統一感がないと、見た目が洗練されないだけでなく、情報が分かりにくくなったり、見る人に不安感を与えたりすることがあります。特に、企業のSNSアカウントや公式資料であれば、ブランドイメージを損なう可能性も出てきます。
この記事では、デザインの重要な原則である「一貫性(Consistency)」について、非デザイナーの方にも分かりやすい言葉で解説します。なぜ一貫性が重要なのか、そして、ご自身の業務でどのように一貫性のあるデザインを実現できるのか、具体的なヒントを交えてご紹介します。
デザインの「一貫性(Consistency)」とは何ですか?
デザインにおける「一貫性」とは、同じシリーズの制作物や、同じ媒体内で、特定のルールやスタイルを統一して使用することを指します。
たとえば、
- Webサイト全体で、見出しの文字サイズや色、ボタンの形や色が常に同じである
- プレゼン資料シリーズで、タイトルのフォント、箇条書きのスタイル、図の書き方が統一されている
- 企業のSNS投稿で、使用するフォント、ロゴの配置、画像の色味にある程度のルールがある
といった状態が、「一貫性がある」と言えます。逆に、資料ごとにフォントや色がコロコロ変わったり、Webサイトのページによってボタンの形や使い方が違ったりするのは、一貫性がない状態です。
なぜデザインに「一貫性」が必要なのでしょうか?
「なんとなく統一されている方がキレイに見えるから」というだけでなく、デザインに一貫性を持たせることには、いくつかの重要な目的とメリットがあります。
1. 信頼性が高まる
デザインに一貫性があると、「しっかり管理されている」「プロが作っている」という印象を与えやすくなります。バラバラなデザインは、情報の正確性や信頼性に対しても疑問を抱かせることがあります。特にビジネスの場面では、信頼感は何よりも重要です。
2. 情報が伝わりやすくなる
見る人は、同じデザインパターンに繰り返し触れることで、自然とそのパターンに慣れていきます。例えば、Webサイトで「緑色の四角いボタンはクリックできる」と一度学習すれば、他のページでも同じ緑色の四角いボタンを見つけるたびに「これはクリックできるボタンだ」とすぐに理解できます。
一貫性がないと、見るたびに「これは何だろう?」と考える必要が出てきてしまい、情報の処理に時間がかかり、ストレスを感じさせてしまいます。一貫性のあるデザインは、見る人の認知負荷を減らし、必要な情報にスムーズにアクセスできるようサポートする役割を果たします。
3. ブランドイメージが定着する
特定のフォント、特定の配色、特定のレイアウトスタイルなどを一貫して使用することで、それがその会社やサービスの「らしさ」として認識されるようになります。いわゆるブランドイメージの確立に繋がるのです。見ただけで「あ、〇〇さんの資料だ」「このSNS投稿は△△社のものだ」とすぐに分かってもらえるようになります。
4. 制作効率が上がる
一度ルールやテンプレートを決めてしまえば、ゼロからデザインを考える必要がなくなります。「この要素はこのスタイルで」「この情報はここに配置する」といった基準があるため、デザインにかかる時間を短縮し、効率的に制作を進めることができます。
非デザイナーが「一貫性」を保つための具体的な方法
「一貫性が大切だとは分かったけれど、具体的に何をすれば良いの?」と思われるかもしれません。デザインの専門知識がなくても、明日からご自身の制作物に取り入れられる実践的な方法をいくつかご紹介します。
方法1:まず「どこを揃えるか」を決める
全ての要素を完璧に揃えるのは難しいかもしれません。まずは、以下のうち「ここだけは揃えよう」という要素をいくつか決めてみましょう。
- フォント: 見出し用、本文用、注釈用など、役割ごとに使用するフォントの種類とサイズを決めます。たとえば、「見出しは太字の〇〇、本文は普通の□□、サイズは△△px/pt」のように具体的に決めます。
- なぜ揃える? フォントがバラバラだと読みにくく、全体の印象が不安定になります。
- 配色: メインカラー、サブカラー、アクセントカラーなど、基本となる色を数色決めます。Webサイトであれば、リンクの色やボタンの色も決めましょう。
- なぜ揃える? 色は印象に大きく影響します。決まった配色を使用することで、視覚的な統一感が生まれ、ブランドイメージが定着します。
- レイアウト: タイトル、本文、画像などの配置に関する基本的なルールを決めます。例えば、「タイトルは常に左上に配置」「本文エリアは左右に余白を設ける」など。プレゼン資料であれば、ページ番号や会社ロゴの表示位置なども決めましょう。
- なぜ揃える? 要素の位置が安定していると、見る人は情報の場所を予測しやすくなり、ストレスなく内容を追うことができます。
- 使用する要素のスタイル: 図やアイコン、写真などのスタイルにルールを設けます。例えば、「アイコンは全てシンプルな線画にする」「写真は人物より風景を多く使う」「図解の色は決めた配色パレットの中から使う」など。
- なぜ揃える? 要素のテイストが揃うと、全体の雰囲気にまとまりが出ます。
方法2:テンプレートを作る・活用する
頻繁に作成する種類の制作物(例:週報の資料、特定のSNS投稿フォーマット、社内イベント告知ポスターなど)については、一度完成度の高いものを作ったら、それをテンプレートとして保存・活用しましょう。
- 新しい資料を作る際に、ゼロから始めるのではなく、既存のテンプレートを開いて内容だけを差し替えるようにします。
- SNS投稿であれば、Canvaなどのツールでテンプレート機能を使ったり、PhotoshopやIllustratorのファイルを雛形として保存しておくと便利です。
これにより、自然とフォント、色、レイアウト、ロゴの位置などが統一され、一貫性が保たれます。
方法3:簡易的な「スタイルガイド」を作る・共有する
チームや部署で共同でデザイン制作を行う場合は、簡単なルールブック(スタイルガイド)を作成し、共有することをおすすめします。大げさなものでなくても構いません。
「使用フォント:〇〇と□□」「メインカラー:この青(カラーコード:#xxxxxx)」「ロゴは必ず右下に配置」といった最低限のルールをA4用紙1枚にまとめるだけでも、チーム全体の制作物に統一感が生まれます。
方法4:既存の成功事例を参考にする
過去に社内やチームで作られた資料やSNS投稿で、「これは分かりやすい」「デザインが良い」と評判になったものがあれば、それを参考にしてみましょう。そのデザインに使われているフォントや色、レイアウトなどを真似ることで、自然と一貫性のあるデザインに近づけることができます。
デザイナーとの連携に活かす「一貫性」の視点
もしあなたがデザインをデザイナーに依頼する立場であれば、「一貫性」の視点を持つことは、よりスムーズで質の高いコミュニケーションに繋がります。
- 指示の明確化: 依頼する際に「既存の〇〇シリーズの資料に合わせたデザインでお願いします」「Webサイトの他のページと同じフォントと配色で作成してください」のように、既存の一貫性ルールを伝えることで、デザイナーは意図を正確に把握しやすくなります。
- フィードバックの精度向上: デザイナーからの成果物を確認する際に、「この部分の色が、他の資料で使っている色と少し違うようです」「こちらのページのボタンの形が、他のページのボタンと統一されていないようです」のように、具体的な一貫性の観点からフィードバックできるようになります。これにより、デザイナーも修正箇所を理解しやすくなります。
デザインの依頼は「お任せ」だけでなく、依頼側もある程度基本的なルールや方向性を共有することで、より効率的かつ効果的にプロジェクトを進めることができます。
まとめ:一貫性はデザインの土台となる原則
デザインの「一貫性(Consistency)」は、見た目の美しさだけでなく、情報の分かりやすさ、信頼性の向上、ブランドイメージの構築、そして制作効率の向上に不可欠な重要な原則です。
プロのデザイナーは、この一貫性を保つために厳密なルールやガイドラインに従ってデザインを行っています。非デザイナーの方でも、ご自身の制作物やチームの活動において、フォント、配色、レイアウトといった基本的な要素から「どこを揃えるか」を決めて意識するだけで、デザインの質を大きく向上させることができます。
まずは身近な制作物、例えば次に作るプレゼン資料や、これから数回にわたって投稿するSNSシリーズなどで、「このフォントと色を使おう」「ロゴはここに置こう」といったシンプルなルールを決めて、一貫性を試してみてください。きっと、ご自身の制作物が見違えるようにプロっぽくなり、見る人からの信頼感も高まるはずです。