デザイン原則やさしく解説

目を引く!デザインの『コントラスト』使いこなし術【SNS・資料編】

Tags: コントラスト, デザイン原則, 視認性, 非デザイナー, 資料作成

「作った資料がなんだか地味に見える」「SNS投稿の文字が読みにくい」「どこが一番大事なのか伝わりにくい」――非デザイナーの皆さまが、日々の業務でデザインに直面する中で、このような課題を感じたことはありませんか?

デザインをプロに依頼するほどではないけれど、自分で作ったものがもっと伝わりやすくなったら良いのに、とお考えの方もいらっしゃるでしょう。

実は、デザインには「コントラスト」という非常に基本的な原則があり、これを意識するだけで、あなたの作ったものが見違えるように分かりやすくなります。

この記事では、デザインにおける「コントラスト」とは何かを、専門用語を使わずにやさしく解説し、なぜそれが重要なのか、そしてSNS投稿やプレゼン資料といった身近な制作物でどのように活用できるのかを、具体的な例を交えてご紹介します。

デザインの知識がない方でも、すぐに実践できるヒントが満載ですので、ぜひ最後までお読みください。

デザインにおける『コントラスト』とは?

コントラスト(contrast)とは、簡単に言えば「差」や「対比」のことです。デザインの世界では、色、形、大きさ、配置、質感など、様々な要素に「差」をつけることで、特定の情報や要素を際立たせたり、全体にメリハリを与えたりするために使われます。

例えば、黒い紙に白いチョークで文字を書くと、文字がはっきりと見えますね。これは「色」と「明度(明るさ)」のコントラストが大きいからです。逆に、灰色の紙に薄い灰色のペンで書くと、文字は見えにくくなります。これはコントラストが小さい状態です。

このように、私たちの日常生活にもコントラストは溢れています。デザインにおけるコントラストも、この「差」を利用して、見る人に情報を正確かつ効果的に伝えるための基本的な技術なのです。

なぜデザインにコントラストが重要なのか?

では、なぜデザインにおいてコントラストがそれほど重要なのでしょうか?主な理由は以下の3つです。

  1. 視認性を高める: 最も分かりやすい効果は、文字や要素を「見やすくする」ことです。特に文字情報において、背景とのコントラストがしっかりついていると、スピーディーに内容を読み取ることができます。これは、情報過多な現代において、非常に重要な要素です。
  2. 情報の優先順位を示す: すべての情報が同じように目立っていたら、見る人はどこから見れば良いか迷ってしまいます。コントラストを使うことで、「これはタイトル」「これは特に重要な情報」「これは補足説明」のように、情報の重要度や関連性を視覚的に示すことができます。
  3. デザインにメリハリとリズムを生む: コントラストがない、平坦なデザインは退屈に見えがちです。要素間に適切な差をつけることで、デザインに抑揚が生まれ、見る人の注意を引きつけ、最後まで飽きさせずに情報を伝える手助けとなります。

つまり、コントラストは単に見た目を良くするだけでなく、「分かりやすさ」「伝わりやすさ」といった、情報デザインの本質に関わる非常に重要な役割を担っているのです。

どんな『コントラスト』があるの? 具体的な例

デザインで使えるコントラストには、いくつかの種類があります。いくつか代表的な例を見てみましょう。

これらのコントラストを組み合わせることで、より複雑で効果的なデザインを作り出すことができます。

【実践】SNS投稿・資料でコントラストを使ってみよう

では、皆さんの日々の業務でどのようにコントラストを活用できるか、具体的な例を考えてみましょう。

例1: SNS投稿画像の文字を見やすくする

商品やサービスの告知画像をSNSに投稿するとします。写真の上に文字を載せたい場合、文字の色と写真の色によっては、文字が背景に溶け込んで読みにくくなってしまいます。

例2: プレゼン資料で重要な情報を強調する

たくさんの情報を含むプレゼン資料を作成する際に、「ここだけは絶対に伝えたい!」という数字やメッセージがあるはずです。

このように、少しコントラストを意識するだけで、同じ情報でも「見やすさ」と「伝わりやすさ」が劇的に向上します。

コントラストを使いこなすためのヒント

コントラストは強力なツールですが、やみくもに強ければ良いというものではありません。効果的に使うためのヒントをいくつかご紹介します。

  1. 「一番伝えたいこと」を明確にする: まず、そのデザインで「最も伝えたいこと」「最も目立たせたい情報」は何なのかを明確にしましょう。コントラストは、その「一番」を際立たせるために使います。全てを際立たせようとすると、逆に何も目立たなくなってしまいます。
  2. コントラストをつけすぎない: 複数の要素に強いコントラストをつけすぎると、デザイン全体がごちゃごちゃして見えたり、見る人が疲れてしまったりします。メリハリは大切ですが、全体としてのバランスも意識しましょう。
  3. ターゲットに合わせた強さで調整する: ターゲット層の年齢や、媒体(Web、印刷物など)、見る環境(明るい場所、暗い場所など)によって、適切なコントラストの強さは変わります。例えば、高齢者向けの資料であれば、文字と背景のコントラストはかなり強くする必要があります。
  4. 色のコントラストはツールを活用する: 特に色の組み合わせで悩む場合は、Web上にある「カラーコントラストチェッカー」のようなツールを活用するのも良い方法です。背景色と文字色を入力すると、その組み合わせが十分なコントラストを持っているかを判定してくれます。

デザイナーとの連携に役立つコントラストの知識

日頃、デザイナーの方にデザインを依頼したり、フィードバックをしたりする機会がある方もいらっしゃるでしょう。コントラストの基本的な考え方を理解していると、デザイナーとのコミュニケーションがよりスムーズになります。

例えば、「このグラフの特定の項目をもう少し目立たせたいです」と言う代わりに、「この項目と他の項目の色のコントラストを強められますか?」や、「この見出しと本文の文字サイズのコントラストをもっとつけて、重要度を明確にしたいです」といった具体的な要望を伝えやすくなります。

また、デザイナーから提案されたデザインに対して、「ここの文字が背景に溶け込んでいるように見えるのですが、コントラストを調整できませんか?」といったように、具体的な根拠を持って質問や修正依頼をすることも可能になります。デザインの意図をより深く理解し、共通言語で話す手助けとなるでしょう。

まとめ

デザインの「コントラスト」は、見た目の美しさだけでなく、情報伝達の「分かりやすさ」「伝わりやすさ」に直結する非常に重要な原則です。

色、サイズ、形、質感など、様々な要素の「差」を利用することで、視認性を高め、情報の優先順位を示し、デザインにメリハリを与えることができます。

SNS投稿画像で文字を見やすくしたり、プレゼン資料で重要な情報を際立たせたりと、皆さんの身近な業務でもすぐに活用できる技術です。

完璧なデザインを目指す必要はありません。まずは、あなたが普段作成している資料やSNS投稿の中から一つを選び、「どこか見えにくい部分はないか?」「一番伝えたい情報は十分に目立っているか?」という視点で見てみてください。そして、文字の色を変えてみる、サイズを大小つけてみる、といった小さな一歩から、コントラストを意識したデザインに挑戦してみてはいかがでしょうか。

コントラストを意識するだけで、あなたのメッセージはもっと多くの人に、もっと正確に伝わるようになるはずです。ぜひ、今日から試してみてください。