デザイン原則やさしく解説

パッと見て分かる!デザインの『近接』応用術【SNS・資料編】

Tags: デザイン原則, 近接, 非デザイナー, SNSデザイン, 資料作成, プレゼン資料, デザインの基礎

「ごちゃごちゃして分かりにくい」を解決するデザインの『近接』とは?

SNS投稿の画像や、プレゼン資料のスライド、社内向けの案内などを作成していて、

「なんだか情報がごちゃごちゃしているな…」 「どこから読めばいいのか、どこが重要なのか分かりにくいかも…」

と感じたことはありませんか?

もしかすると、それは「デザインの近接(きんせつ)」という原則が意識されていないからかもしれません。

デザイン原則にはいくつかの種類がありますが、特に非デザイナーの方が日々の業務で作成するビジュアルを「分かりやすく」「見やすく」するために、まず知っておくと役立つ考え方の一つが、この「近接」です。

この記事では、デザインの専門知識がない方でも理解できるよう、「近接」の原則を徹底的に分かりやすく解説し、あなたのSNS投稿や資料作りに役立つ具体的な応用方法をご紹介します。

デザインの『近接』を理解するたった一つのポイント

デザインにおける「近接」とは、「関係性の深い要素同士は近くに、関係性の薄い要素同士は離して配置する」という原則のことです。専門用語では「Proximity(プロキシミティ)」とも呼ばれますが、覚える必要はありません。大切なのは、その考え方です。

これは、私たちの日常生活にも通じる考え方です。例えば、

これらはすべて「近接」の考え方が無意識に使われています。関係のあるものを物理的に近づけることで、「これは一つのまとまりなんだな」「これとこれは関連しているんだな」と私たちは直感的に理解します。

デザインでも全く同じです。文字や画像、図形といった要素を、伝えたい情報のまとまりに合わせて配置することが「近接」の考え方です。

なぜ『近接』が重要なのか?「ごちゃごちゃ」がなくなる理由

では、なぜデザインにおいて近接が重要なのでしょうか?それは、近接が情報の「整理」と「分かりやすさ」に直結するからです。

要素を近接させてグループ化することで、読み手は無意識のうちに情報の関連性を認識します。これにより、

たとえ余白をたくさん取っていても、関係のない情報同士が近くにあったり、関係のある情報が離れて配置されていたりすると、見た目はすっきりしていても「分かりにくい」「読みにくい」という印象を与えてしまいます。

近接は、単に要素を「並べる」のではなく、要素間に「関係性」を持たせるための非常に強力なツールなのです。

【実践】あなたのSNS投稿や資料を見違えさせる『近接』の応用例

では、具体的にあなたの日常業務で作成するビジュアルに、近接の原則をどのように応用できるでしょうか?いくつかの例を見ていきましょう。

例1:SNS投稿の画像クリエイティブ

新商品の告知画像を考えてみましょう。画像の中には、商品写真、商品名、キャッチコピー、価格、発売日、購入方法(URLやQRコード)といった情報が入ることが一般的です。

このように、情報を意味のあるグループに分けてそれぞれを近づけ、異なるグループ間は離すことで、パッと見ただけで「この商品についてのメッセージ」「購入するための情報」「さらに詳細を見る方法」といった情報の構造が理解できるようになります。

例2:プレゼン資料のスライド

箇条書き、図、表、補足説明などが混在するスライドは、近接を意識すると劇的に分かりやすくなります。

スライドに配置する要素を、意味的なまとまりごとにグループ化し、各グループ内は要素を近づけ、グループ間は離す。これを意識するだけで、聞き手はスライドのどこにどんな情報があるのか、それらがどのように関連しているのかを素早く把握できるようになります。

例3:広告バナー

限られたスペースで情報を効果的に伝える必要がある広告バナーでも、近接は非常に重要です。

バナーのように情報が少ない場合でも、要素間の距離によって情報のグループ化を示すことが、ユーザーの視線誘導や理解を助け、最終的なクリック率にも影響を与えうるのです。

今日からできる!『近接』実践のためのチェックリスト

いかがでしょうか?近接の原則が、いかに情報の分かりやすさに直結するかをご理解いただけたかと思います。

今日からあなたがデザインする際に、以下の点を意識してみてください。

  1. 要素を意味のあるグループに分ける: デザインしようとしているテキストや画像を、「これはタイトルだな」「これは本文だな」「これは画像の説明だな」「これは申し込み情報だな」といった具合に、情報のまとまりごとに分類してみましょう。
  2. グループ内の要素を近づける: 同じグループに属する要素同士は、できる限り近くに配置します。
  3. 異なるグループ間は離す: 異なるグループ、つまり関係性の薄い情報のかたまり同士は、明確な余白を設けて離します。
  4. 全体を見て確認する: デザイン全体を俯瞰して見て、情報のまとまりが視覚的に分かりやすいかを確認します。パッと見て、どこからどこまでが一つの情報なのか、違う情報なのかが直感的に理解できるでしょうか?

これらのチェックポイントを意識するだけで、あなたの作るビジュアルは劇的に整理され、「ごちゃごちゃ感」が減り、伝えたい情報がより明確に伝わるようになります。

デザイナーとの連携にも『近接』の知識が役立つ

もしあなたがデザイナーさんと一緒に仕事をする機会があるなら、「近接」という言葉を知っていることがコミュニケーションに役立ちます。

デザインについてフィードバックをする際に、「このキャッチコピーと商品画像をもう少し近づけて、一つの情報のかたまりとして見せたい」「この特典情報は他の情報と少し離して、特別感を強調したい」のように、「近接」の考え方を使って具体的に伝えることができます。

これにより、意図がより正確に伝わり、より効率的に修正を進めることができるでしょう。

まとめ:『近接』を意識して「伝わる」デザインを作ろう

デザイン原則『近接』は、特別な技術は必要ありません。情報をグループ化するという、極めてシンプルながら非常に強力な考え方です。

あなたのSNS投稿、プレゼン資料、広告バナーなどが「なんとなく分かりにくい」と感じる場合は、ぜひ「近接」を意識して要素の配置を見直してみてください。関係するものは近づけ、関係しないものは離す。たったこれだけのことで、あなたのデザインはぐっと洗練され、伝えたい情報が「パッと見て分かる」ようになります。

デザインは、センスだけのものではありません。基本的な原則を知り、少しの工夫を凝らすことで、誰でも「伝わる」ビジュアルを作ることができます。

この記事が、あなたのデザインスキル向上の一歩となれば幸いです。