資料やSNS投稿に深みを出す!デザインの『テクスチャとパターン』やさしく解説【非デザイナー向け】
資料やSNS投稿に深みを出す!デザインの『テクスチャとパターン』やさしく解説【非デザイナー向け】
日々の業務でSNS投稿用の画像やプレゼン資料、広告クリエイティブなどを作成・ディレクションされている皆様、こんにちは。
「なんだか自分の作ったビジュアルは平面的で物足りないな…」 「もっと個性を出したいけど、どうしたらいいか分からない…」
そう思われたことはありませんか?
写真やイラスト、文字の配置に気を配っても、どこか単調に見えてしまうことがあるかもしれません。そんな時に役立つのが、デザインにおける「テクスチャ」と「パターン」という考え方です。
これらは、非デザイナーの方でも少し意識するだけで、ビジュアルに深みや面白さ、そして伝えたい雰囲気を加えることができる強力なツールです。
この記事では、テクスチャとパターンがそれぞれどのようなもので、なぜデザインに使うと効果的なのか、そして非デザイナーの方が日々の業務でどのように活用できるのかを、分かりやすく解説いたします。
デザインの『テクスチャ』とは?
「触り心地」を想像させる視覚的な要素
テクスチャ(texture)とは、一言でいうと「素材の表面の質感」を視覚的に表現したものです。例えば、ザラザラした紙、ツルツルした金属、ふわふわした布地、硬い木目など、実際に触れた時の感触を、目で見える形で表現することを指します。
写真であれば、岩肌のごつごつ感、水面のきらめき、砂の粒など、被写体の持つ質感そのものがテクスチャになります。デザインにおいては、これらの質感を持った画像を背景に使ったり、他の要素に重ねたりすることで、ビジュアルに奥行きやリアリティ、そして特定の雰囲気を与えることができます。
テクスチャがデザインに与える印象の例
- ザラザラ、かすれ: 温かみ、手作り感、ヴィンテージ感
- ツルツル、光沢: クールさ、高級感、清潔感
- 木目、布地: 自然な温かみ、落ち着き、親しみやすさ
- 水彩、インク: 芸術性、柔らかさ、動き
このように、選ぶテクスチャによって、見る人に与える印象を大きく変えることができるのです。
デザインの『パターン』とは?
「繰り返される模様」で作るリズムと賑やかさ
パターン(pattern)とは、特定の図形や要素が規則的に、あるいはランダムに繰り返されてできた「模様」のことです。壁紙や包装紙を想像していただくと分かりやすいかもしれません。ドット柄、ストライプ、チェック、花柄、幾何学模様など、様々なパターンがあります。
テクスチャが単体の「質感」であるのに対し、パターンはその「形」や「要素」が複数集まり、連続することで一つのまとまりを作るものです。
パターンがデザインに与える役割の例
- 賑やかさや楽しさを表現する: ポップなドット柄やカラフルなストライプなど。
- 統一感やリズムを生む: 同じ模様が繰り返されることで、画面に規則性が生まれます。
- 要素の区切りや装飾として使う: 背景としてだけでなく、特定の領域をパターンで塗りつぶしたり、線の代わりに使ったり。
- ブランドイメージを伝える: ブランドロゴをパターン化して背景に使うなど。
パターンもテクスチャと同様に、デザインの雰囲気を決める上で重要な要素となります。
なぜテクスチャやパターンをデザインに使うと良いのか?
単に見た目が良くなるだけでなく、テクスチャやパターンを使うことにはいくつかの明確な理由があります。
- 視覚的な単調さを解消する: 何も特徴のないのっぺりとした背景よりも、控えめでもテクスチャやパターンがある方が、見る人の目を引きつけ、画面に飽きさせません。
- 情報の区切りを明確にする: 特定のセクションの背景にパターンを使うことで、「ここから新しい情報が始まる」という視覚的な合図になります。
- 雰囲気やメッセージを補強する: 前述のように、テクスチャやパターンはそれぞれが持つ印象を持っています。伝えたい内容に合わせて選ぶことで、メッセージ性を強めることができます。例えば、環境問題に関する投稿であれば、木目や葉脈のような自然なテクスチャを使うなどが考えられます。
- 奥行きや深みを与える: 特にテクスチャは、平面的な画面にリアルな質感をもたらし、視覚的な奥行きを生み出します。
適切に使うことで、読者や顧客に対して、より魅力的で、より意図が伝わりやすいビジュアルを届けることができるのです。
非デザイナーのためのテクスチャ・パターン活用術【実践編】
では、具体的にどのように日々の業務でテクスチャやパターンを活用できるでしょうか?
1. 背景として使う
最も一般的な使い方のひとつです。
- プレゼン資料の背景: 全てのスライドではなく、タイトルや章の始まりのスライドに、薄くテクスチャやパターンを敷くことで、資料全体の雰囲気を設定できます。主張しすぎない、透過率を調整した素材を選ぶのがコツです。
- 例: ビジネスシーンなら、控えめな和紙のようなテクスチャや、薄いヘリンボーン柄のパターンなどを、資料の色味に合わせて薄く配置する。
- SNS投稿の背景: 写真やイラストを前面に出しつつ、その背景や余白部分にテクスチャやパターンを加えることで、投稿画像に個性を出すことができます。
- 例: 手書き風のテクスチャを重ねて、親しみやすい雰囲気を出す。セール告知なら、背景にポップなドットやストライプを薄く使う。
- 広告バナーの背景: 商品イメージに合わせたテクスチャやパターンを背景に使い、世界観を表現します。
- 例: 化粧品なら、きらめく水面のようなテクスチャや、繊細な花柄パターン。食品なら、温かい木目や布のテクスチャ。
【注意点】 背景にテクスチャやパターンを使う際は、その上に乗せる文字や写真などの主要な情報が見にくくならないよう、濃度(透過率)を調整したり、コントラストを抑えたりすることが極めて重要です。主役は情報であることを忘れないでください。
2. 要素の装飾として使う
背景全体ではなく、特定の要素にテクスチャやパターンを適用することも効果的です。
- 図形の塗りつぶし: 四角や丸などの図形を単色で塗りつぶす代わりに、テクスチャやパターンで塗りつぶします。
- 例: 吹き出しの中に薄いドットパターンを使う。見出しの背景の四角をリネン風テクスチャで塗りつぶす。
- 文字への適用: 特に大きな見出しやタイトル文字に、テクスチャ(例:錆びた金属、木目)やパターン(例:細かなストライプ)を適用することで、文字自体を装飾的に見せることができます。
- 例: イベントタイトルの文字をキラキラしたテクスチャで表現する。
- 区切り線や枠線: 単調な実線ではなく、破線や点線、あるいはテクスチャのある線を使うことで、デザインにアクセントを加えることができます。
【注意点】 要素の一部に使う場合も、使いすぎるとデザインがごちゃついてしまいます。目立たせたい部分や、デザインにアクセントを加えたい部分に絞って使うのがおすすめです。
3. 写真やイラストに重ねて使う
写真やイラストの上にテクスチャ画像を重ねて、ブレンドモード(重ね合わせ方)を調整することで、簡単に写真の雰囲気を変えることができます。
- 例: 風景写真に古い紙のテクスチャを「乗算」や「焼き込みリニア」などで重ねると、セピア風の懐かしい写真のような雰囲気に変わります。キラキラしたテクスチャを「スクリーン」や「加算」で重ねると、ファンタジックな印象になります。
多くの画像編集ツールやデザインツールにはブレンドモードの機能がありますので、ぜひ試してみてください。
テクスチャやパターンを選ぶ際のヒント
- 目的を明確にする: なぜテクスチャやパターンを使いたいのか?(例:温かい雰囲気にしたい、プロフェッショナルに見せたい、楽しさを表現したいなど)。目的に合ったテクスチャやパターンを選びましょう。
- 伝えたい情報との相性: テクスチャやパターンが、伝えたいメッセージやメインのビジュアル(写真など)と馴染むか、邪魔しないかを確認しましょう。
- 全体のバランス: 色、フォント、レイアウトなど、デザイン全体の他の要素とのバランスを考えて選びましょう。一貫性のあるトーン&マナーを意識することが重要です。
- シンプルさが鍵: 迷ったら、シンプルで主張しすぎないテクスチャやパターンから試してみましょう。薄いテクスチャ、淡い色のパターンなどは、情報を邪魔しにくく使いやすいです。
デザイナーとの連携に役立つ視点
デザイン原則としてテクスチャやパターンを理解していると、デザイナーの方とのコミュニケーションもスムーズになります。
例えば、「背景に少し温かみのあるテクスチャを入れていただけますか?」とか、「このセクションの区切りを、もう少し遊び心のあるパターンで表現できますか?」のように、具体的な要望を伝えることができるようになります。
また、デザイナーから提案されたテクスチャやパターンに対して、「なぜこのテクスチャ(またはパターン)を選んだのですか?」と理由を尋ねてみることで、デザイナーの意図やデザインの考え方を学ぶことができ、ご自身のデザインの引き出しを増やすことにも繋がります。
まとめ
テクスチャとパターンは、単調になりがちなビジュアルに深み、個性、そして伝えたい雰囲気を加えることができる、デザインにおける効果的なツールです。
非デザイナーの方でも、背景の一部に薄く使ったり、特定の要素に適用したりと、少しの工夫で日々の業務に活かすことができます。
重要なのは、「なぜそれを使うのか」という目的と、画面全体のバランスを考えることです。情報を邪魔しない範囲で、テクスチャやパターンを賢く取り入れてみてください。
この記事が、皆様の資料作成やSNS投稿など、日々のビジュアル作成の一助となれば幸いです。