失敗しない画像選び!ファイル形式(JPG/PNG/GIF/SVG)やさしく解説【非デザイナー向け】
あなたは、SNS投稿用の写真、プレゼン資料に入れる図、会社のWebサイトに使うロゴなど、様々な場面で画像ファイルを使っていると思います。その際、「この画像、JPGでいいのかな?」「PNGって何が違うんだろう?」「デザイナーさんからSVGって形式で渡されたけど、どう使うんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?
画像ファイルにはいくつか種類があり、それぞれに得意なことと苦手なことがあります。適切なファイル形式を選ばないと、「Webサイトで画像が表示されない」「資料に入れた写真がなぜかぼやける」「背景を透明にしたいのに白くなる」といった問題が起こり得ます。
この記事では、非デザイナーのビジネスパーソン向けに、代表的な画像ファイル形式であるJPG、PNG、GIF、そして最近よく使われるSVGについて、それぞれの特徴と、ビジネスシーンでどのように使い分ければ良いのかを、専門用語を避けながら分かりやすく解説します。この記事を読めば、画像選びで迷うことがなくなり、あなたの作る資料やSNS投稿、Webサイトの質が一段と向上するはずです。
なぜ画像ファイル形式を知る必要があるのか?
デザインの仕事をしていると、画像ファイル形式は素材の質や使い勝手を大きく左右する要素です。非デザイナーの方でも、デザイナーに指示を出したり、受け取った素材を使ったりする際に、ファイル形式の知識があると非常に役立ちます。
例えば、背景を透明にしたいロゴ画像をデザイナーから受け取ったのに、その形式がJPGだったらどうなるでしょう? JPGは透明を扱えないため、ロゴの周りに白い四角が表示されてしまいます。これは、JPGという形式の特性を知らないと、「なぜ?」となってしまう場面です。
ファイル形式を理解することは、単に知識が増えるだけでなく、画像が持つ特性を最大限に活かし、意図通りの見た目を実現するために不可欠なのです。
代表的な画像ファイル形式を解説
それでは、ビジネスシーンでよく encounter する4つのファイル形式について、それぞれ見ていきましょう。
1. JPG (JPEG) - 写真向きの「軽量級チャンピオン」
- 得意なこと: 写真のように色がたくさん使われている画像の保存。
- 特徴:
- 非常に高い圧縮率でファイルサイズを小さくできます。これは、色数の多い写真データを扱う上で非常に便利です。
- 圧縮する際に、人間の目にはほとんど分からないレベルで少しずつデータを間引きます(非可逆圧縮といいます)。そのため、保存を繰り返すと徐々に画質が劣化することがあります。
- 背景を透明にすることはできません。
- 「なぜ」の写真向き? 写真は色の変化が非常に滑らかなため、多少データを間引いても視覚的な影響が少なく、ファイルサイズを劇的に小さくできるからです。
- どんな時に使う?
- Webサイトに掲載する風景写真や人物写真
- SNS投稿用の写真
- ブログ記事のアイキャッチ画像
- メールに添付する写真(容量を小さくしたい場合)
2. PNG (Portable Network Graphics) - 透明も扱える「高画質保存版」
- 得意なこと: ロゴ、イラスト、図など、色の境界がはっきりしている画像や、背景を透明にしたい画像の保存。
- 特徴:
- 画質を劣化させずに圧縮できます(可逆圧縮といいます)。そのため、何度保存し直しても画質は変わりません。
- 背景を透明にする機能(透過)を持っています。
- JPGに比べてファイルサイズが大きくなりやすい傾向があります。
- PNGにはPNG-8(最大256色)とPNG-24(フルカラー)がありますが、一般的に「PNG」として透過画像を扱うのはPNG-24の方が多いです。
- 「なぜ」透明が使える? PNGは画像の色情報とは別に、「この部分は完全に透明」「この部分は少し透明」といった情報を持たせることができる仕組みがあるからです。
- どんな時に使う?
- 背景を透明にしたい会社のロゴ
- Webサイトの装飾用のアイコンやイラスト
- スクリーンショット(文字が鮮明に保存されるため)
- プレゼン資料に入れる図やグラフ
- 画質を最優先したいイラスト
3. GIF (Graphics Interchange Format) - 動かせる「ミニ動画」
- 得意なこと: 短いアニメーション、色の数が少ないシンプルなアイコンやロゴ。
- 特徴:
- 最大で256色しか使えません。そのため、写真のように色数の多い画像には不向きです。
- 簡単なアニメーションを作ることができます。
- 背景を透明にすることも可能ですが、PNGほど滑らかではありません。
- 画質を劣化させずに圧縮できます(可逆圧縮)。
- 「なぜ」動く? GIFファイルは、複数の静止画を順番に表示させる情報を一緒に持たせることができるからです。
- どんな時に使う?
- SNSやチャットで使う短いアニメーションスタンプや絵文字
- Webサイトのごくシンプルなアニメーションバナー
- 色数の非常に少ないシンプルなアイコン
4. SVG (Scalable Vector Graphics) - 拡大しても劣化しない「万能選手」
- 得意なこと: ロゴ、アイコン、グラフ、イラストなど、線や図形で構成された画像。
- 特徴:
- これまでのJPG, PNG, GIFは「ピクセル」という色の点の集まりで画像を表現していましたが、SVGは「どのような線や色で、どこに図形を描くか」という情報を数値やコマンドで記録しています(ベクター形式といいます)。
- そのため、どれだけ拡大・縮小しても画質が劣化しません。常に滑らかでシャープな表示が可能です。
- ファイルサイズが非常に軽いことが多いです。
- テキストデータなので、検索エンジンが内容を理解しやすく、Webのアクセシビリティ(利用しやすさ)にも優れています。
- HTMLやCSSを使って色や形を後から変更することも可能です。
- 「なぜ」劣化しない? 点の集まりではなく、計算によって画像を描画しているからです。拡大しても点の粗さが目立つのではなく、再計算して滑らかな線を描き直すイメージです。
- どんな時に使う?
- 会社のロゴ(Webサイトや印刷物など様々なサイズで使うため)
- Webサイトのアイコン
- グラフや地図
- 解像度に依存しない高品質なイラスト
状況別!最適なファイル形式の選び方ガイド
ここまで見てきた特徴を踏まえて、具体的なシーンごとにどのファイル形式を選ぶべきか、簡単なガイドを示します。
| 使いたい場面 | オススメのファイル形式 | 理由 | | :--------------------------------- | :--------------------- | :------------------------------------------------------------------- | | 写真 (風景、人物など色が豊富) | JPG | ファイルサイズを小さくでき、写真の滑らかな色合い表現に適しているから。 | | ロゴ (背景を透明にしたい) | PNG / SVG | PNGは透過に対応しており、SVGは拡大縮小に強く、Webでの利用に適しているから。 | | イラスト・図 (色数が少なめ) | PNG / SVG | PNGは透過や高画質保存に、SVGは拡大縮小に強く、Webや資料に適しているから。 | | イラスト・図 (色数が多い) | PNG | 色数を気にせず高画質で保存でき、透過も可能だから。 | | 短いアニメーション | GIF | 簡単な動きを表現でき、ファイルサイズも比較的小さいから。 | | アイコン (Webサイトなど) | SVG | 拡大しても劣化せず、ファイルサイズが軽く、デザイン変更も容易だから。 | | スクリーンショット | PNG | 文字などが鮮明に保存され、編集時の画質劣化も防げるから。 | | 印刷物用の高画質画像 (写真以外) | PNG | 高画質を維持したまま保存できるから。(※印刷には別途TIFFやEPSなども使われますが、Webとの兼ね渡しではPNGが便利です) |
デザイナーとの連携に活かす
画像ファイル形式の知識は、デザイナーさんとやり取りする際にも役立ちます。
- 素材を依頼する時: 「Webサイトに使うロゴなので、背景が透明なPNGか、拡大しても劣化しないSVGでいただけますか?」のように具体的に伝えられると、デザイナーさんは意図を正確に理解し、適切な形式で納品してくれます。
- 受け取った素材を使う時: デザイナーさんから受け取ったファイル形式を見て、「これは写真だからJPGなんだな」「ロゴがPNGになってるから、背景を透明にして使えるな」「このアイコンはSVGだから、サイズを変えても綺麗に表示できるぞ」と、その画像の特性を理解した上で適切に扱えるようになります。
デザインの専門用語を知らなくても、このように画像ファイル形式の特性を理解しているだけで、コミュニケーションが円滑になり、デザインの意図を損なわずに制作を進めることができるのです。
まとめ
今回は、JPG、PNG、GIF、SVGという代表的な画像ファイル形式について解説しました。それぞれの形式には得意なこと、苦手なことがあり、それを理解して使い分けることが、画像を使った制作物の質を高める第一歩です。
- JPG: 写真向き、容量を小さくしたい時、透過はできない。
- PNG: ロゴやイラスト向き、透過ができる、画質劣化しないがサイズは大きめ。
- GIF: 短いアニメーション向き、256色まで。
- SVG: ロゴやアイコン向き、拡大縮小しても劣化しない、軽い、Webに強い。
非デザイナーの皆さんにとって、これらの知識は日々の業務で必ず役立つはずです。SNS投稿の画像を選んだり、プレゼン資料の図を作成したりする際に、少しだけ「この画像、どの形式が良いかな?」と考えてみてください。その小さな意識が、あなたのクリエイティブの質を確実に向上させてくれるでしょう。
ぜひ今日から、画像ファイル形式を意識して、より効果的なビジュアル作成に挑戦してみてください。