SNS投稿や資料で失敗しない!画像解像度と最適なサイズの選び方【非デザイナー向け】
SNS投稿や資料で失敗しない!画像解像度と最適なサイズの選び方【非デザイナー向け】
日々の業務でSNS投稿の画像を作ったり、プレゼン資料に写真を挿入したりする際に、このような経験はありませんか?
- 画像を貼り付けたら、なんだかぼやけて表示された
- デザイナーさんに画像を渡したら、「解像度が足りない」と言われた
- 逆に、一枚の画像のファイルサイズが大きすぎて、メールで送れなかったり、Webサイトの表示が遅くなったりする
- 「〇〇ピクセルで書き出して」「△△dpiでください」と言われても、よく分からない
これらはすべて、画像の「解像度」や「サイズ」に関する理解不足が原因かもしれません。
デザインの専門知識がない方にとって、画像の解像度やサイズは少しややこしく感じられるかもしれません。しかし、これらの基本を押さえるだけで、画像の品質が向上したり、デザイナーさんとのやり取りがスムーズになったり、ファイル管理が楽になったりと、多くのメリットがあります。
この記事では、画像の解像度とサイズについて、専門用語を避け、極めて分かりやすく解説します。そして、あなたが普段作成するSNS投稿や資料でどのように考え、対応すれば良いのか、具体的なヒントをお届けします。
そもそも「解像度」と「サイズ」って何が違うの?
デザインの文脈で画像について話すとき、「解像度」と「サイズ」という言葉がよく出てきます。これらは混同されがちですが、実は異なるものです。
例えるなら、解像度は「どれだけ細かく点が集まってできているか」、サイズは「縦横にいくつ点が並んでいるか(または最終的にどれくらいの大きさになるか)」と考えると分かりやすいかもしれません。
「解像度」とは?:画像の「きめ細かさ」
解像度は、画像を構成する小さな点(これを「ピクセル」と呼びます)が、一定の範囲にどれだけたくさん集まっているかを示すものです。
デジタル画像の解像度を表す単位には、主に以下の2つがあります。
- ppi (pixels per inch): 1インチ(約2.54cm)の中に、ピクセルがいくつ並んでいるか。主にディスプレイ表示に使われる概念です。
- dpi (dots per inch): 1インチの中に、印刷のインクの点(ドット)がいくつ並んでいるか。主に印刷に使われる概念です。
どちらも「1インチあたりの点の数」という意味では似ています。数字が大きいほど、点が密に集まっているということですから、解像度が高い画像は、拡大してもギザギザしにくく、細部まで鮮明に見えます。
想像してみてください。布に絵を描くとき、細い糸で密に織られた布(高解像度)と、太い糸でざっくり織られた布(低解像度)では、同じ大きさの絵を描いても、表現できる細かさが違いますよね。解像度は、この「布の織り目の細かさ」のようなものです。
「サイズ」とは?:画像の「縦横の大きさ」
画像のサイズは、主に以下の2つの方法で表されます。
- ピクセル数: 画像が縦に何ピクセル、横に何ピクセル並んでいるかを示す、デジタル画像そのものの大きさです。(例:1920px × 1080px)
- 物理的なサイズ: 印刷物として考えた場合の、実際の縦横の長さです。(例:10cm × 15cm、A4サイズ)
ピクセル数は、画像全体の点の数です。この数が大きいほど、よりたくさんの情報を含んだ画像ということになります。
例えば、同じ「1000ピクセル × 1000ピクセル」の画像があったとします。
- これを「72 dpi」で印刷しようとすると、約35cm四方の大きさになります。(1000px ÷ 72dpi ≒ 13.89インチ ≒ 35.3cm)
- これを「350 dpi」で印刷しようとすると、約7.2cm四方の大きさになります。(1000px ÷ 350dpi ≒ 2.86インチ ≒ 7.26cm)
このように、同じピクセル数の画像でも、設定する解像度(dpi)によって、印刷される物理的なサイズが変わってきます。 逆に言えば、目的の物理的なサイズで綺麗に印刷するためには、必要なピクセル数が決まるということです。
用途別!画像解像度とサイズの考え方
あなたが画像をどこで使うかによって、適切な解像度とサイズの考え方は変わってきます。
1. WebサイトやSNS投稿に使う場合
WebサイトやSNSで画像を見るのは、PCやスマートフォンのディスプレイ上です。ディスプレイの表示能力は「ppi」という単位で決まりますが、多くのディスプレイは72ppiから150ppi程度に対応しています(Retinaディスプレイのような高精細なものは300ppiを超えることもあります)。
WebやSNSでは、画像のサイズは主にピクセル数(px)で考えます。
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重要なのは「表示されるエリアに必要なピクセル数」です。
- 例えば、ブログ記事の横幅が800pxであれば、そこに表示する画像も横幅800pxあれば十分です。
- SNSのプロフィール画像が128px × 128pxで表示されるなら、それよりはるかに大きな画像を用意しても、表示されるサイズは128px四方になります。
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解像度(ppi/dpi)は、WebやSNSにおいては基本的にあまり気にする必要がありません。 なぜなら、ディスプレイは画像の「ピクセル数」を基準に表示するからです。画像ファイルに「300dpi」と設定されていても、Webブラウザやアプリはそれを無視して、ディスプレイのppiに合わせてピクセル数通りに表示します。
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注意点:Retinaディスプレイ対応
- 近年普及しているRetinaディスプレイなど、高精細なディスプレイでは、一般的なディスプレイの2倍のピクセル密度で表示されます。
- このような環境でも画像を鮮明に見せるためには、表示したいサイズの2倍のピクセル数で画像を用意することが一般的です。(例:Webサイトで横幅500pxで表示したい場合、1000px幅の画像を準備する)
Web/SNS向けのまとめ:
- 主にピクセル数 (px) で考える。
- 表示したいエリアのサイズ(px)に合わせて画像サイズを決める。
- 解像度(dpi/ppi)はファイルに設定されていても、Web表示では基本的に無視されることが多い。
- 高精細ディスプレイ対応のため、表示サイズの2倍のピクセル数で用意することも検討する。
2. プレゼン資料に使う場合
PowerPointやKeynoteなどのプレゼン資料も、基本的にはディスプレイやプロジェクターに表示して見ることがほとんどです。このため、考え方はWebサイトに似ています。
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資料全体のサイズ(解像度)に合わせる
- 多くのプレゼン資料は「ワイド画面 (16:9)」か「標準画面 (4:3)」で作成されます。
- ワイド画面の標準的な解像度は1920px × 1080pxです。資料に挿入する画像は、このサイズを基準に考えましょう。例えば、画面いっぱいに画像を表示したいなら、横幅1920px程度の画像を用意すると綺麗に見えます。
- 標準画面の標準的な解像度は1024px × 768pxです。
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大きく表示したい場合は、より大きなピクセル数が必要
- 画面の一部に小さく表示する画像は、資料全体の解像度より小さくても問題ありません。
- ただし、スライドいっぱいに大きく表示したい画像は、資料全体の解像度(例:横1920px)に近いか、それ以上のピクセル数がないと、拡大した際にぼやけてしまいます。
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解像度(dpi)は気にしなくてOK
- プレゼン資料を画面表示する限り、画像ファイルに設定されているdpiは表示に影響しません。必要なのはピクセル数です。
プレゼン資料向けのまとめ:
- 資料全体のサイズ(解像度。ワイド画面なら1920px × 1080pxが目安)を意識する。
- 画像を表示したいサイズに合わせてピクセル数を決める。大きく表示したい画像は、資料全体の横幅や高さに近いピクセル数が必要。
- 解像度(dpi)は気にしなくて良い。
3. 印刷物に使う場合
ポスター、チラシ、会社案内、名刺など、紙に印刷する場合は、Webや資料とは考え方が大きく異なります。印刷の品質は、画像の解像度(dpi)によって大きく左右されます。
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印刷に必要な解像度は「300 dpi」または「350 dpi」が標準です。
- なぜなら、それ以下の解像度(例えばWeb用の72 dpiなど)で印刷すると、点が粗すぎて画像がギザギザに見えたり、色がかすれて見えたりするからです。人間の目は、このくらいの密度であれば点の集合としてではなく、連続した画像として認識しやすいとされています。
- モノクロの新聞や簡易的な印刷物であれば150 dpi程度でも許容されることがありますが、カラー写真を使った一般的な商業印刷では300 dpi以上が必須と考えましょう。
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「目的の物理的なサイズ」で「必要な解像度」を達成できるピクセル数が必要。
- ここが少し複雑になります。例えば、A4サイズ(210mm × 297mm、約8.27インチ × 11.69インチ)の紙に写真を印刷したい場合を考えます。
- 必要な解像度を350 dpiとすると、画像のピクセル数は以下のようになります。
- 横: 8.27インチ × 350 dpi ≒ 2895 ピクセル
- 縦: 11.69インチ × 350 dpi ≒ 4092 ピクセル
- つまり、A4サイズで綺麗に印刷するためには、最低でも「約2900px × 約4100px」のピクセル数を持った画像が必要ということです。
印刷物向けのまとめ:
- 解像度 (dpi) が極めて重要。一般的に300〜350 dpiが必要。
- 目的の物理的なサイズ(mm/cm/inch) と、必要な解像度(dpi)から、逆算して必要なピクセル数を計算する。
- Web用の72 dpiの画像では、印刷には解像度が圧倒的に不足している可能性が高い。
実践!画像の確認と準備のヒント
では、実際にあなたが手持ちの画像を使ったり、デザイナーさんに画像を依頼したりする際に役立つ具体的なヒントをいくつかご紹介します。
ヒント1:手持ち画像の解像度やサイズを確認する方法
WindowsでもMacでも、画像ファイルの情報を確認することができます。
- Windowsの場合:
- 画像ファイルを右クリックし、「プロパティ」を選択。
- 「詳細」タブを開くと、「画像」の項目に「幅」「高さ」(ピクセル数)や「水平解像度」「垂直解像度」(dpi/ppi)が表示されています。
- Macの場合:
- 画像ファイルを選択し、右クリックまたはcontrol+クリックで「情報を見る」を選択。
- 「一般情報」にファイルサイズ、「詳細情報」またはプレビューウィンドウの下部に画像のピクセル数が表示されます。解像度(dpi/ppi)は、プレビューアプリなどで画像を開き、「ツール」メニューの「サイズ調整...」などを見ると表示されることが多いです。
この方法で、その画像がどのくらいの情報量(ピクセル数)を持っているか、また設定されている解像度を確認できます。
ヒント2:デザイナーさんに画像を依頼/受け取る際のコミュニケーション
あなたがデザイナーさんに画像素材を渡したり、デザイナーさんから画像を受け取ったりする際、以下の点を明確に伝達・確認するとスムーズです。
- 用途: 「Webサイトのこの部分に使います」「A4のチラシに印刷します」「SNS投稿に使います」など、何に使うのかを具体的に伝えましょう。
- 最終的な表示/印刷サイズ: 「Webサイトの横幅800pxのエリア」「A4サイズの写真」「Instagramの投稿(正方形)」など、最終的にどれくらいの大きさで表示/印刷したいかを伝えましょう。
- デザイナーさんに画像を渡す場合:
- 可能な限り、元の大きな画像、高解像度の画像を渡すのが最も安全です。プロのデザイナーは、必要なサイズ・解像度に加工することができます。
- 特に印刷物の場合は、スマートフォンで撮影した写真でも、元のファイル(圧縮されていない高画質設定で撮影したもの)を渡しましょう。SNSからダウンロードした画像は、Web表示用にサイズが小さく、解像度も低い場合が多いので注意が必要です。
- デザイナーさんから画像を受け取る場合:
- 上記ヒント1の方法で、受け取った画像のサイズ(ピクセル数)と解像度(dpi/ppi)が、あなたの用途(Webか印刷か、どのくらいのサイズで使うか)に対して適切か確認しましょう。もし不明な点があれば、遠慮なく用途を伝えて「この画像で大丈夫ですか?」と確認することをおすすめします。
ヒント3:画像サイズやファイルサイズを調整する必要がある場合
元の画像サイズが大きすぎたり、ファイルサイズが重すぎたりする場合、調整が必要になります。
- Web用にするために小さくする: 画像編集ソフト(Photoshopなど)がなくても、Web上で使える無料の画像編集ツールや、PowerPointなどのプレゼンソフトでも画像の書き出し時にサイズや圧縮率を調整できることがあります。
- 印刷用にするために解像度を高くする(※これは非常に難しい):
- 基本的に、一度低い解像度で作成または保存された画像を、後から引き伸ばして解像度を高くすることはできません。ピクセル数が足りない画像を無理に引き伸ばすと、ぼやけたり、不自然になったりします。(これを「補間」と言いますが、失われた情報を完全に復元することは不可能です)。
- 「解像度を上げる」のではなく、「よりピクセル数の多い元の画像を探す」か、「新たに撮影し直す」必要があることを理解しておきましょう。
重要な考え方:
「とりあえず高画質・大きなサイズで保存しておく」のが最も汎用性が高く安全です。なぜなら、大きな画像を小さくしたり、解像度を下げるのは簡単ですが、その逆は難しいからです。
なぜ、解像度とサイズを理解することが重要なのか?
デザイン原則の一つである「正確性」や「品質」に関わる部分だからです。
- 品質の向上: 用途に合わせた適切な解像度とサイズで画像を使うことで、画像がぼやけたり、荒くなったりするのを防ぎ、プロフェッショナルな見た目を実現できます。
- ファイル管理の効率化: 必要以上に大きな画像を使わないことで、ファイルサイズを適正に保ち、ストレージ容量の節約やファイルの受け渡しをスムーズに行えます。
- 表示速度の改善: Webサイトやオンライン資料の場合、重すぎる画像はページの読み込み速度を遅くし、ユーザー体験を損なう原因となります。適切なサイズにすることでこれを防げます。
- デザイナーとの連携強化: 解像度やサイズの基本的な概念を理解していると、デザイナーさんからの指示の意味が分かったり、こちらから正確な要望を伝えられたりするため、コミュニケーションが円滑になります。これにより、手戻りが減り、作業効率も向上します。
まとめ
この記事では、デザイン初心者の方に向けて、画像の「解像度」と「サイズ」について、その違いと用途に応じた考え方、そして実践的なヒントを解説いたしました。
- 解像度は画像の「きめ細かさ」(dpi/ppi)、サイズは画像の「縦横の大きさ」(ピクセル数または物理的な長さ)です。
- Webや資料では主にピクセル数を重視し、表示サイズに合わせたピクセル数を用意します。解像度(dpi)はあまり気にする必要がありません。
- 印刷物では解像度(300〜350 dpi)が極めて重要で、目的の印刷サイズと必要な解像度から、必要なピクセル数を計算する必要があります。
- 手持ち画像の確認方法や、デザイナーさんとの効果的なコミュニケーションのポイントもご紹介しました。
- 用途に合わせた画像理解は、デザインの品質向上、効率化、そしてデザイナーとの連携を円滑にする上で非常に役立ちます。
最初は少し難しく感じるかもしれませんが、まずはあなたが普段最もよく使う用途(SNS投稿なのか、プレゼン資料なのか、簡単な印刷物なのか)で必要な画像の「ピクセル数」または「解像度」の目安を覚えておくことから始めてみてはいかがでしょうか。
この記事が、あなたの日常業務における画像に関する悩みを少しでも解消し、より効果的なビジュアル作成の一助となれば幸いです。