デザイン原則やさしく解説

プロ見えする写真×テキスト!情報伝達を最大化するデザイン術【SNS・資料編】

Tags: 写真, テキスト, レイアウト, コントラスト, SNSデザイン, 資料作成

デザイン原則やさしく解説をご覧いただき、ありがとうございます。

SNS投稿の画像、広告バナー、あるいはプレゼン資料のスライド。これらのビジュアルを作る際、写真の上に文字を重ねて情報を伝えたい場面は非常によくあります。

しかし、「なんとなく文字を置いたけどうまく読めない」「写真の雰囲気を壊してしまう」「プロが作ったものと何が違うんだろう?」と感じた経験はありませんか。

写真とテキストは、それぞれが情報を伝える力を持つ強力な要素ですが、ただ並べたり重ねたりするだけでは、その力が十分に発揮されないどころか、お互いの邪魔をしてしまうこともあります。

この記事では、デザインの専門知識がない方でも、写真とテキストを組み合わせて情報伝達力を最大限に高めるための基本的な考え方と、すぐに使えるテクニックをやさしく解説します。なぜそうするのか、その理由も踏まえてお伝えしますので、ぜひあなたの日常業務に活かしてください。

写真とテキストの組み合わせが難しいのはなぜ?

写真とテキストは、それぞれが異なる特性を持っています。

この「複雑な背景」と「はっきり読ませたい文字」という異なる性質を持つ要素を同じ空間に配置するため、何も考えずに重ねると文字が読みにくくなったり、写真の良さが損なわれたりする問題が起こりやすくなります。

この課題を解決するために重要なのが、いくつかのデザイン原則の理解と応用です。

基本原則1:コントラストを確保する

写真とテキストの組み合わせで最も重要な原則の一つが「コントラスト」です。文字が写真の背景に埋もれてしまうのは、文字の色と背景の色の差(明度や色相の差)が小さいからです。

なぜコントラストが必要なのか? コントラストは「対比」のことです。特に文字と背景のコントラストは、その文字が読めるかどうかを決定的に左右します。十分なコントラストがないと、情報はそこに存在しても、読み手はそれを認識できません。これは、視力の低い人や色覚多様性のある人だけでなく、一般的な環境でも、例えばスマートフォンの画面を屋外の明るい場所で見るときなどに問題となります。

具体的なテクニック

  1. 文字の色を背景と真逆にする:

    • 写真の背景が明るい部分が多いなら、文字は「黒」や濃い色にします。
    • 写真の背景が暗い部分が多いなら、文字は「白」や薄い色にします。
    • 写真全体が明るかったり暗かったりする場合に効果的です。
  2. 文字の周りに「光る」「影をつける」などの効果を加える:

    • 文字にドロップシャドウ(影)やグロー(光彩)効果を付けると、文字の輪郭がはっきりし、背景から浮き上がって見えます。
    • ただし、過度な効果はかえって読みにくく、デザインが幼稚に見えることがあるため、控えめに使うのがコツです。
  3. 文字を置く部分の背景を調整する:

    • 背景を暗く(または明るく)する: 写真全体、あるいは文字を置きたい部分だけを少し暗く(または明るく)加工してから文字を置きます。
    • 背景をぼかす: 写真の特定のエリアだけをぼかすことで、情報量を減らし、文字を際立たせます。
    • 透明な「帯」や「ボックス」を敷く: 文字の下に、半透明の色付きの帯やボックスを敷くことで、写真のディテールをある程度残しつつ、文字の背景を均一化してコントラストを確保します。SNS投稿や広告バナーで非常によく使われる手法です。

    (例イメージ:)横長の写真の中央下部に、半透明の黒い帯を敷き、その上に白い文字でメッセージを書く。背景の写真(例えば風景)は帯を通してうっすら見えるが、文字は帯の上でくっきり読める。

基本原則2:配置と視線誘導を意識する

文字を写真のどこに配置するか、そして読み手の視線がどのように流れるかを考えることも重要です。

なぜ配置と視線誘導が重要なのか? 配置は、写真の中で文字が写真の主題を邪魔しないようにし、かつ読み手が自然に文字に気づき、読むことができるようにするために必要です。視線誘導は、読み手の目がどこから始まり、どのように移動するかを意識することで、伝えたい情報を効率的に見せるための技術です。

具体的なテクニック

  1. 写真の主題を避ける:

    • 写真に人物や特に見せたい被写体がある場合、文字はその被写体にかぶらないように配置します。写真の「余白」部分を探して文字を置くと、写真も文字も生きることが多いです。
    • 写真の隅や、比較的情報量の少ない(平坦な)部分を選ぶと良いでしょう。
  2. 「三分割法」や「黄金比」を参考に:

    • 写真や画面を縦横に三分割した線の交点や、黄金比に基づいて決められた位置は、視覚的にバランスが良いとされており、文字を置く場所に迷ったときのヒントになります。特にメインのキャッチコピーなどを置く場合に有効です。
    • 既存の記事「デザインの『構図』やさしく解説【黄金比・三分割法編】」も参考にしてみてください。
  3. 自然な視線の流れを利用する:

    • 日本語の文章は通常、左上から右下へ視線が流れます。重要な情報は左上や画面中央に配置すると、より早く視線に入りやすくなります。
    • ただし、写真自体の構図や人物の目線の方向なども、視線誘導に影響します。写真の中の人物が特定の方向を見ていれば、読み手の視線も無意識にそちらに誘導されることがあります。その先に文字を配置するのも効果的です。
    • 既存の記事「デザインの『視線誘導』の基本【SNS・資料・広告編】」も参考にしてください。
  4. 「負の空間(ネガティブスペース)」を活用する:

    • 写真の中の、被写体が存在しない意図的な空間を「負の空間」と呼びます。この負の空間は、文字を配置するのに最適な場所であることが多いです。写真の主題を引き立てつつ、文字を読むための十分なスペースを確保できます。
    • 既存の記事「デザインの『負の空間(ネガティブスペース)』活用術」も参考にしてください。

基本原則3:文字そのものとレイアウトを工夫する

写真の上に置く文字そのものの選び方や、文字のブロックとしてのレイアウトも重要です。

なぜ文字の工夫とレイアウトが重要なのか? どんなに写真とのコントラストが取れていても、文字そのものが小さすぎたり、フォントが読みにくかったり、文字の塊が整理されていなかったりすると、やはり情報は伝わりにくくなります。文字は単なる情報であると同時に、写真と組み合わさることで全体のデザイン要素の一部となります。

具体的なテクニック

  1. 適切なフォントを選ぶ:

    • 写真の雰囲気に合ったフォントを選びましょう。柔らかい写真なら丸ゴシックや明朝体、力強い写真ならゴシック体など。
    • ただし、写真の上に重ねる場合は、読みやすさが最優先です。装飾的すぎるフォントや細すぎるフォントは避け、シンプルで視認性の高いフォントを選ぶのが無難です。特に、小さな文字で多くの情報を載せる場合は、ゴシック体のような可読性の高いフォントが適しています。
    • 既存の記事「情報が伝わる!デザインの『フォント』基礎知識と活用法」も参考にしてください。
  2. 文字サイズにメリハリをつける(ジャンプ率):

    • 最も伝えたい見出しやキャッチコピーは大きく、補足情報は小さくするなど、文字サイズに強弱をつけます。写真の中で何が一番重要なのかをサイズで表現します。
    • 既存の記事「資料やSNS投稿が見やすくなる!デザインの『文字サイズ(ジャンプ率)』」も参考にしてください。
  3. 行間と字間を調整する:

    • 文字の塊が「詰まりすぎている」または「開きすぎている」と読みにくくなります。特に写真の上では、背景の干渉を受けやすいため、適切な行間(行と行の間隔)と字間(文字と文字の間隔)を設定することが大切です。
    • 一般的に、文章量の多い場合は、文字サイズに対して少し広めの行間をとると読みやすくなります。
  4. テキストブロックの「整列」:

    • 複数の行にわたるテキストは、左揃え、中央揃え、右揃えのいずれかにきちんと揃えましょう。これもまた、写真という複雑な背景の上では非常に重要です。揃っていないテキストはそれだけでノイズになり、読みにくさにつながります。
    • 既存の記事「見た目がグッと良くなる!デザインの『整列』やさしく解説」も参考にしてください。

デザイナーとの連携のために

今回ご紹介した「コントラスト」「配置と視線誘導」「文字の工夫」といった要素は、デザイナーが写真とテキストを組み合わせる際に必ず考慮している基本的なポイントです。

これらの原則をあなたが少しでも理解していると、デザイナーとのコミュニケーションがより円滑になります。

例えば、「この文字が背景に埋もれて読みにくいので、コントラストを上げる工夫ができますか?(例:文字に少し影をつける、背景を少し暗くする等)」といった具体的なフィードバックができるようになります。

また、「写真のこの部分を見せたいので、文字は反対側の余白に配置してもらえませんか?」といった具体的な要望も伝えやすくなります。

デザイン原則の知識は、単に自分でデザインするだけでなく、プロであるデザイナーに適切に指示を出し、意図を正確に伝えるための共通言語にもなるのです。

まとめ:写真とテキストを効果的に組み合わせるステップ

写真とテキストを効果的に組み合わせるには、以下のステップを試してみてください。

  1. 写真を選ぶ: テキストを載せるのに適した「余白」や「情報量が少ないエリア」がある写真を選ぶと後が楽です。
  2. 最も伝えたいメッセージを決める: どのテキストを一番目立たせたいかを明確にします。
  3. 配置を決める: 写真の邪魔にならず、視線に入りやすい位置(余白や三分割線の交点など)にテキストブロックを配置する場所の候補を決めます。
  4. コントラストを確保する: 文字色と背景色の差を大きくするために、文字色を変えたり、文字の下に半透明の帯を敷いたり、背景を調整したりします。
  5. 文字を調整する: 可読性の高いフォントを選び、サイズにメリハリをつけ、行間・字間を調整し、きちんと揃えます。
  6. 全体を確認する: 写真と文字が喧嘩していないか、情報がスムーズに伝わるか、意図通りに見えるかを確認します。

これらのステップは、一度にすべてを完璧に行う必要はありません。一つずつ意識するだけでも、あなたの作るビジュアルは大きく変わるはずです。

SNS投稿、広告、プレゼン資料など、写真とテキストを組み合わせる機会はたくさんあります。ぜひこの記事で学んだことを実践してみてください。そして、あなたが伝えるべき情報が、写真の力とテキストの力、両方を借りて、もっと効果的に伝わるようになることを願っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。