ごちゃごちゃ資料をスッキリ!デザインの『シンプル化』やさしく解説【SNS・資料編】
デザイン原則やさしく解説にご訪問いただき、ありがとうございます。
「作った資料やSNS投稿が、なんだかごちゃごちゃして読みにくい…」 「伝えたい情報がたくさんあって、どこを強調すれば良いか分からない…」
このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。デザインの専門知識がない方が、情報伝達を目的としたビジュアルを作成する際に直面しやすい課題の一つが、「要素の詰め込みすぎ」や「整理されていない状態」です。
今回は、デザインを「シンプルにする」という考え方に焦点を当て、なぜシンプルが良いのか、そして具体的にどうすればシンプルで分かりやすいデザインになるのかを、非デザイナーの方向けにやさしく解説します。この記事を読むことで、普段作成されているSNS投稿やプレゼン資料などが、より洗練されて伝わりやすいものになるヒントを得られるでしょう。
なぜシンプルが良いデザインとされるのか?その理由を解説します
デザインにおける「シンプルさ」とは、単に要素を減らすことではありません。伝えたい情報が最も効果的に伝わるように、不要なものを取り除き、必要なものを整理する考え方です。
なぜシンプルが良いのでしょうか?その理由は主に以下の3点にあります。
-
情報が速く、正確に伝わる: デザインがごちゃごちゃしていると、受け手はどこから見れば良いか、何が重要なのかを判断するのに時間がかかります。ノイズが多い環境で会話するようなものです。シンプルであれば、視線が迷うことなく、伝えたい情報にすぐに到達できます。まるで静かな場所で、相手の言葉がクリアに聞こえるかのようです。
-
重要な要素が際立つ: 要素がたくさん詰め込まれていると、すべてが同じくらいの重要度に見えてしまいがちです。しかし、要素を厳選し、配置を整理することで、本当に伝えたいメッセージやCall to Action(行動喚起)が自然と目立ちます。主役を引き立てるために、脇役を絞るイメージです。
-
洗練されたプロフェッショナルな印象を与える: シンプルに整理されたデザインは、落ち着きがあり、意図をもって設計されているように見えます。これにより、見る人に信頼感や安心感を与え、「きちんと作られている」というプロフェッショナルな印象を与えることができます。
シンプルなデザインを作るための具体的な考え方
では、具体的にどうすればデザインをシンプルにできるのでしょうか。ここでは、今日から実践できる具体的な考え方とテクニックをご紹介します。
1. 「引き算」の考え方を取り入れる
デザインを始める前に、「このビジュアルで最も伝えたいことは何だろう?」と問いかけてみましょう。そして、その最も伝えたいことを邪魔する可能性のある要素は、思い切って削ぎ落とす、あるいは目立たなくすることを検討します。
例えば、SNS投稿用の画像であれば、写真、キャッチコピー、商品名、ロゴ、ハッシュタグなど、要素は多岐にわたります。これらをすべて大きく、目立つように配置すると、情報過多になります。最も伝えたいのが「新商品の魅力」であれば、その写真とキャッチコピーを主役に据え、他の要素は小さくしたり、配置場所を工夫したりします。
2. 要素の「種類」を絞る
デザインに使用する要素の種類を限定することも、シンプルに見せる上で非常に効果的です。
- フォントの種類: 複数のフォントを使いすぎると、まとまりがなくなり、読みにくくなります。基本的には、見出し用と本文用の最大2種類に絞ることをお勧めします。同じフォントファミリー(例えば、Noto Sans JP)の中で、太さ(Bold, Regular)を変えて変化をつけるだけでも十分です。
- 色の数: 使用する色の数を絞りましょう。ベースカラー、メインカラー、アクセントカラーの3色程度に抑えるのが一般的です。企業のブランドカラーがあればそれを活用し、やみくもにたくさんの色を使わないように意識します。
- 装飾の種類: 枠線、影、グラデーション、背景パターンなどの装飾は、多用するとごちゃつきの原因になります。本当に必要な装飾か見極め、控えめに使用するか、一切使わない選択肢も考えましょう。
3. グルーピングと余白を意識する
関連する情報を近くに配置する「近接」の原則は、情報整理の基本です。電話番号と営業時間、商品名と価格など、セットで伝えたい情報はまとめて配置します。
そして、情報のかたまりと情報のかたまりの間には、適切な「余白」を設けます。余白は「何もない空間」ではなく、要素同士の関係性を示し、視線を誘導する重要なデザイン要素です。たっぷりと余白をとることで、一つ一つの要素が呼吸し、全体がスッキリと見えます。例えば、プレゼン資料で箇条書きを並べる際、行間や段落間に適切な余白を設けるだけで、格段に読みやすくなります。
4. 視線の流れを整理する
人は文章を読むとき、一般的に左上から右下へ視線が流れます。この自然な視線の流れを意識して、重要な情報から順に配置すると、情報がスムーズに頭に入ってきます。
- 最も伝えたい見出しを左上に配置する。
- その下に、詳細な情報を配置する。
- 行動してほしいボタン(例: 購入はこちら)は、視線の流れの終着点に近い、目立つ位置に配置する。
このように、読者が自然に情報を追えるように誘導することで、迷子になることなく内容を理解してもらえるようになります。
実践!あなたの資料やSNS投稿をシンプルにするステップ
これらの考え方を、普段お使いのツールや作成物に応用してみましょう。
-
SNS投稿画像:
- 使用する写真やイラストは一つに絞る。
- 文字の量は最低限にし、伝えたいメッセージを簡潔にする。
- 文字色と背景色のコントラストをしっかりつけ、文字の種類は1〜2種類にする。
- ハッシュタグなどは、画像内ではなく投稿本文に記載する。
-
プレゼン資料:
- 「1スライドに1メッセージ」を心がける。
- 箇条書きは短く、3〜5項目程度に絞る。
- グラフや表は、本当に伝えたいデータ以外は思い切って省略する。
- スライド全体の配色やフォントを統一し、各スライドでデザインがバラバラにならないようにする。
-
広告バナー:
- 見る人に何をしてほしいのか(購入、クリック、資料請求など)を明確にする。
- 伝えたい要素(商品写真、キャッチコピー、価格、ボタン)の中で、最も重要なものを一つ決め、それ以外は引き立て役に徹する。
- 余白を十分に使い、ごちゃつきをなくす。
-
社内資料:
- 部署やチーム内でテンプレートを作成し、デザインのルールを決める。
- 装飾よりも、情報の整理(見出し、箇条書き、表の活用)に重点を置く。
- 本当に必要な情報だけを掲載し、読み手の負担を減らす。
手始めに、過去に作成した資料や投稿を一つ取り出し、「これは何を一番伝えたかったんだろう?」「不要な要素はないか?」「要素の種類を絞れないか?」という視点で見直してみることから始めてみてください。
デザイナーとの連携に活かす
「シンプルにしたい」という要望は、デザイナーにとって非常に具体的で分かりやすい指示です。デザイナーは、先ほど解説した「引き算」「要素の種類を絞る」「グルーピング」「余白」「視線の流れ」といったテクニックを駆使して、シンプルで伝わるデザインを実現します。
あなたが「この部分がごちゃごちゃして見えます」「もっとスッキリさせて、ここに目が行くようにしたいです」といった具体的な感覚や意図を伝えられるようになると、デザイナーはあなたの求める方向性をより正確に理解し、質の高いアウトプットにつなげやすくなります。デザイン原則の理解は、より円滑なコミュニケーションと、期待以上の成果に繋がるのです。
まとめ
デザインの「シンプル化」は、単に見た目を整えるだけでなく、情報の伝達効率を劇的に高めるための重要な考え方です。
- 情報伝達効率の向上
- 重要要素の際立たせ
- プロフェッショナルな印象の付与
といった効果は、ビジネスシーンにおけるあらゆるビジュアル作成において、大きなメリットとなります。
今日解説した「引き算」「要素の種類を絞る」「グルーピングと余白」「視線の流れ」といった考え方を参考に、ぜひ皆さんの日々の業務の中で作成するデザインを、一つ一つシンプルに、そして伝わりやすく改善してみてください。小さな変化でも、情報伝達の質は大きく向上するはずです。
ご自身のデザインが、より多くの人に正確に伝わるようになることを願っています。