デザイン原則やさしく解説

資料やSNS投稿が見やすくなる!デザインの『文字サイズ(ジャンプ率)』やさしく解説【非デザイナー向け】

Tags: デザイン原則, ジャンプ率, 文字サイズ, レイアウト, 非デザイナー向け, 資料作成, SNSデザイン

資料やSNS投稿が「なんか読みにくい」と感じる原因とは?

あなたが作成したプレゼン資料やSNS投稿画像、社内文書などが、「なんだか情報が頭に入ってこない」「単調に見える」と感じたことはありませんか?

頑張って内容を盛り込んだのに、意図した通りに読んでもらえない。それは、デザインの基礎知識が不足しているからかもしれません。特に、「文字サイズのメリハリ」がないことが、読みにくさの大きな原因の一つになっていることがあります。

この記事では、デザインにおける「文字サイズ」の重要性と、プロが意識する「ジャンプ率」という考え方について、非デザイナーの方にも理解できるよう、徹底的に分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたの作るものが劇的に見やすくなり、伝えたい情報がより効果的に届けられるようになるでしょう。

デザインの『文字サイズ(ジャンプ率)』とは?

デザインの世界では、文字の大きさの差に意図を持たせることが非常に重要です。特に、見出しや本文、キャプションなど、役割の異なる文字のサイズにどのくらいの「差」をつけるかという考え方を「ジャンプ率」と呼びます。

ジャンプ率とは、簡単に言うと、隣り合う文字要素のサイズの「段差」のようなものです。例えば、見出しが本文の何倍の大きさか、といった比率を指します。

このジャンプ率が、デザインの印象や情報の伝わりやすさに大きく影響するのです。

なぜ『ジャンプ率』がデザインにとって重要なのか?

単に情報を羅列するだけでなく、文字サイズにメリハリ(ジャンプ率)をつけることには、いくつかの重要な目的があります。

  1. 情報の重要度を示す: 最も重要な情報は大きく、補足情報は小さく表示することで、「どこを一番見てほしいか」「どの情報が優先度が高いか」を視覚的に伝えることができます。これは「デザインの階層(ヒエラルキー)」を作る上で不可欠な要素です。
  2. 視線誘導: 読者の視線は、一般的にサイズの大きいものや目立つものから先に引きつけられます。意図的に文字サイズに差をつけることで、読者の視線をコントロールし、読んでほしい順番に情報を追ってもらうことができます。
  3. デザインにリズムと活気を生む: 文字サイズがすべて同じだと、見た目が単調になりがちです。大小様々な文字を配置することで、デザインに動きやリズムが生まれ、読み手の関心を引きつけやすくなります。
  4. 全体の印象をコントロールする: ジャンプ率の大小は、デザイン全体の雰囲気を決定づけます。ジャンプ率が高いほど、活気があり、カジュアル、あるいは強いインパクトを与える印象になります。逆に、ジャンプ率が低いほど、落ち着いた、信頼感のある、堅実な印象になります。

ジャンプ率の低いデザイン vs 高いデザイン

ジャンプ率の高さ・低さによって、デザインがどのように変わるか、具体例をイメージしてみましょう。

ジャンプ率が低いデザインのイメージ

ジャンプ率が高いデザインのイメージ

非デザイナーが『ジャンプ率』を使いこなす実践方法

では、私たちは普段の業務でどのように文字サイズ(ジャンプ率)を意識すれば良いのでしょうか?難しい知識は必要ありません。以下のステップで考えてみましょう。

ステップ1:情報の「役割」と「重要度」を整理する

まず、あなたが作ろうとしている資料や投稿に含まれる情報が、それぞれどのような「役割」を持っているかを考えます。

このように、情報の「役割」とそれに応じた「重要度」を明確にすることがスタート地点です。

ステップ2:基準となる「本文」のサイズを決める

次に、最も基本的な文字要素である「本文」のサイズを決めます。これは、媒体の種類やターゲットによって適切なサイズが異なります。

ステップ3:重要度に応じて「サイズに差」をつける

ステップ1で整理した重要度に基づき、ステップ2で決めた本文サイズを基準に、他の要素のサイズを決めていきます。

重要なのは、「視覚的に見て、情報の重要度の差が分かるか」ということです。具体的なサイズ(例:本文12pt、見出し18pt、タイトル36pt)を決めてみるだけでなく、実際に並べてみて、意図した通りの見え方になっているかを確認しましょう。

ステップ4:サイズ以外の要素も組み合わせてみる

文字サイズの調整だけでも効果はありますが、さらに効果を高めるために、以下の要素も組み合わせてみましょう。

これらの要素を組み合わせることで、より洗練された、意図通りの「ジャンプ率」を生み出すことができます。

具体的な適用例(SNS投稿画像の場合)

例えば、新商品の告知をするSNS投稿画像を作成するとします。

  1. 情報の役割:

    • キャッチコピー(例:「ついに登場!」):最も重要、瞬時に目を引きたい。
    • 商品名(例:「〇〇〇」):重要、商品が何か伝えたい。
    • 簡単な説明文(例:「新感覚の使い心地...」):補足情報、読める人は読んでほしい。
    • 発売日/価格:必要な情報だが、キャッチコピーほど目立たなくて良い。
    • 公式サイトURL/ハッシュタグ:一番最後に見てもらえれば良い。
  2. 本文サイズの目安: SNS投稿なので、説明文は比較的読みやすいサイズ(例えば20px)を基準とします。

  3. サイズに差をつける:

    • キャッチコピー:本文の2.5倍〜3倍(例:50px〜60px)
    • 商品名:本文の1.8倍〜2倍(例:36px〜40px)
    • 説明文:基準サイズ(例:20px)
    • 発売日/価格:本文の0.8倍〜0.9倍(例:16px〜18px)
    • URL/ハッシュタグ:本文の0.7倍〜0.8倍(例:14px〜16px)
  4. その他の要素: キャッチコピーや商品名だけを太字にしたり、色を変えたりすることで、さらに目立たせることができます。

このように、情報の重要度に合わせて意識的に文字サイズに差をつけることで、見る人の視線が自然とキャッチコピー→商品名→説明文...と流れるように誘導できます。

デザイナーとの連携に活かす

デザイン原則の理解は、外部のデザイナーさんや社内のデザイン担当者と連携する際にも役立ちます。

例えば、「このスライドの見出しが本文とあまり変わらないので、もう少しメリハリをつけて、どこが区切りか分かりやすくしたいです。ジャンプ率を少し高めてもらえませんか?」といったように、抽象的な指示だけでなく、デザインの意図や具体的な要素について共通言語で話せるようになります。

デザイナーからの提案に対しても、「ここはジャンプ率を抑えて、落ち着いた印象にしたいのですね」といったように、意図を理解しやすくなり、より建設的なコミュニケーションが可能になります。

まとめ:今日から『文字サイズ』を意識してみましょう

デザインにおける「文字サイズ(ジャンプ率)」は、単なる大きさの違いではありません。情報の重要度を伝え、視線誘導を行い、デザイン全体の印象を決定づける、非常に強力なツールです。

非デザイナーの皆さんでも、今日から簡単に実践できます。

この簡単な意識を持つだけでも、あなたの資料やSNS投稿は格段に見やすくなり、伝えたいことがより多くの人に、より正確に届くようになるはずです。ぜひ、次の作成物から意識して取り組んでみてください。