統一感でプロっぽく!デザイン原則『反復(繰り返し)』やさしく解説【SNS・資料編】
あなたの資料やSNS投稿、なんだか「バラバラ」に見えませんか?
企画書、プレゼン資料、SNS用の画像や動画、ちょっとした社内向けの案内...。日常的に様々なビジュアル素材を作成したり、作成を指示したりする中で、「どうも統一感がないな」「洗練されていないな」と感じたことはありませんか?
一生懸命作ったのに、見た目がバラバラだと、伝えたい情報が頭に入りにくく、せっかくの内容が台無しになってしまうこともあります。これは、デザインの専門知識がない方にとって、特に悩ましい課題かもしれません。
この記事では、そんな悩みを解決するデザイン原則の一つ、「反復(繰り返し)」について、極めて分かりやすく解説します。この原則を理解し、少し意識するだけで、あなたのデザインは見違えるほど統一され、プロのような印象を与えることができるようになります。
デザイン原則『反復(繰り返し)』とは?
デザインにおける「反復(繰り返し)」とは、デザインの中に特定の視覚要素を意図的に複数回、繰り返し出現させることを指します。
ここでいう「視覚要素」とは、次のようなものです。
- 色: 特定の色(例:ブランドカラー、アクセントカラー)を何度も使う。
- フォント: 同じ書体、同じサイズ、同じ太さのフォントを、同じ種類の情報(例:見出し、本文、引用)に対して使う。
- 形状: 特定の図形(例:角丸の四角、円)や線の種類を繰り返し使う。
- 余白: 要素間の同じ種類の余白を、同じルールで確保する。
- 配置パターン: 要素の配置の仕方(例:左揃え、中央揃え、アイコンの横にテキスト)を統一する。
例えば、ある企業のロゴの色を、ウェブサイトの見出しの色や、プレゼン資料の図形の色として繰り返し使うこと。あるいは、プレゼン資料のすべてのスライドで、見出しのフォントサイズと太さを統一することなどが「反復」にあたります。
これは決して難しいことではなく、私たちが普段見ているプロの作ったデザインには、必ずと言っていいほど「反復」が使われています。シリーズ物のテレビ番組の冒頭で毎回同じ効果音やデザインパターンが使われるように、繰り返しは私たちに無意識のうちに「これは同じシリーズだ」「これは重要な情報だ」と伝えているのです。
なぜ『反復』がデザインを良くするのか? その理由を解説
では、「反復」を取り入れることで、なぜデザインが良くなるのでしょうか?その理由を理解することで、あなたはより効果的にこの原則を活用できるようになります。
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統一感と一貫性が生まれる: 最も直接的な効果は、デザイン全体にまとまりが生まれることです。色、フォント、形などがバラバラだと、全体がチグハグで落ち着きのない印象を与えてしまいます。一方、意識的に要素を繰り返すことで、視覚的な繋がりが生まれ、全体が一体感のある洗練された見た目になります。これは、企業のブランドイメージを一定に保つ上でも非常に重要です。
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視覚的な手がかりとなり、情報が伝わりやすくなる: 読者は、繰り返される要素を見ることで、それが何を示しているのかを無意識のうちに学習します。例えば、特定の太字・色のテキストが繰り返されれば、「これは重要なポイントだな」と認識します。繰り返されるアイコンの形を見れば、「これは箇条書きの項目だな」と理解します。これにより、情報の構造が視覚的に分かりやすくなり、読者は迷うことなく、効率的に情報を理解できるようになります。
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信頼性が向上する: 統一感のあるデザインは、プロが丁寧に作り込んだという印象を与えます。バラバラで整合性のないデザインは、いい加減な印象を与えかねません。反復によって整理された見た目は、内容そのものへの信頼感を高める効果が期待できます。
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記憶への定着を助ける: 特に企業のロゴやブランドカラー、特定のフォントスタイルなど、繰り返し目にすることで、読者の記憶に定着しやすくなります。これはブランディングにおいて非常に強力な効果です。
『反復』をあなたのデザインでどう使う? 具体的な適用例
では、あなたの日常業務で「反復」をどのように活用できるでしょうか?具体的な制作物を例に見ていきましょう。
例1:SNS投稿シリーズ
例えば、Instagramで連続投稿するスライド形式の解説投稿や、Twitterで展開する情報発信ツイートの画像シリーズなど。
- フォントの統一:
- すべての投稿の「タイトル」は同じフォント(種類、サイズ、太さ、色)を使う。
- 「本文」も別の同じフォント(種類、サイズ、行間、色)を使う。
- 「引用」や「補足情報」があれば、それらにも決まったフォントスタイルを適用する。
- 色の統一:
- 投稿の背景色、見出しの色、装飾の色に、決まったパレットの色だけを使う。企業のロゴやブランドカラーがあれば、それをキーカラーにする。
- 配置・要素の統一:
- ロゴを配置するなら、すべての画像で同じ位置(例:右下)、同じサイズ、同じ透過率で配置する。
- 使用するアイコンのデザインスタイル(例:線画、塗りつぶし、角の丸み)を統一する。
- 画像の下部に帯を入れるなら、その帯の色や高さを統一する。
(イメージ例) シリーズ1枚目:「デザイン原則とは?」というタイトルが赤太字、明朝体。本文が黒、ゴシック体。右下に薄く企業ロゴ。 シリーズ2枚目:「余白の力」というタイトルも赤太字、明朝体。本文も黒、ゴシック体。右下に薄く企業ロゴ。 → タイトルと本文のフォント、色のルール、ロゴの配置が反復されていることで、これらが同じシリーズの投稿であることが一目で分かります。
例2:プレゼン資料や社内資料
複数ページにわたる資料こそ、「反復」が最も効果を発揮する場面です。
- スライドマスターの活用:
- PowerPointやGoogle Slidesのスライドマスター機能を使って、ロゴ、ページ番号、フッター、背景画像などを設定すれば、すべてのページに自動的に同じ要素が反復されます。
- フォントスタイルの定義:
- 「この資料では、見出しは游ゴシック太字24pt、本文は游ゴシック標準16pt、注釈はメイリオ標準12ptにする」といったルールを決め、全ページで徹底します。テキストボックスごとに適当なフォントを選ぶのではなく、あらかじめ決めたスタイルを適用します。
- 色のパレット設定:
- 資料内で使う色(図形の塗りつぶし、グラフの色、表の罫線など)を数色に絞り、そのパレットの色だけを使用します。特に、グラフなど複数の要素が出てくる場合は、色分けのルールも統一すると分かりやすくなります。
- 箇条書きのスタイルの統一:
- 箇条書きの先頭の記号(・、■、→など)、テキストのインデント、行間などを統一します。
(イメージ例) 資料の1ページ目:タイトルが大きく中央。本文が左に寄った箇条書き(●を使用)。右下にロゴ。 資料の2ページ目:サブタイトルが左上。本文も左に寄った箇条書き(●を使用)。右下にロゴ。 → 箇条書きのスタイル(記号、揃え)、ロゴの配置が反復されています。これが徹底されることで、資料全体に一体感が生まれ、プロフェッショナルな印象になります。
実践!今日からできる『反復』の取り入れ方
「反復」を取り入れるのは、決して難しくありません。まずは、あなたのデザインの中で、何を繰り返すかを意識的に決めることから始めましょう。
- 小さな要素から意識する: 最初から全てを完璧に反復させようとせず、まずは「フォント」だけ、「キーカラー」だけなど、一つの要素に絞って反復を意識してみましょう。
- ルールを決める: 「見出しは●●フォントの■■色」「箇条書きは常に◆◆を使う」といった簡単なルールを自分の中で決めます。
- 徹底する: 決めたルールを、その資料やシリーズ内のすべてのデザイン要素に徹底的に適用します。
- テンプレート化する: よく使う資料やSNS投稿の形式があるなら、一度「反復」を意識して作ったものをテンプレートとして保存しておくと、次回からすぐに活用できます。
デザイナーとの連携に活かす視点
デザイン原則としての「反復」を理解していると、デザイナーさんとのコミュニケーションもスムーズになります。
例えば、デザイナーさんにSNS投稿シリーズのデザインを依頼する際に、「今後のシリーズ投稿でも使えるように、タイトルのフォントや色は統一感を持たせてください」「ブランドカラーのオレンジを効果的に反復させて、統一感を強調したいです」といった具体的な要望を伝えることができます。
また、デザイナーさんから提案されたデザインに対して、「このスライドの箇条書きのスタイルが、前のスライドと違うように見えますが、何か意図がありますか?」といった建設的なフィードバックを行うことも可能になります。共通の「反復」というデザイン原則を理解していることで、より質の高いコミュニケーションが生まれるはずです。
まとめ:『反復』であなたのデザインをレベルアップ!
「反復(繰り返し)」は、デザインに統一感、分かりやすさ、信頼性をもたらす非常に強力な原則です。特別なツールや高度な技術は必要ありません。色、フォント、形、配置といった身近な要素を意識的に繰り返すだけで、あなたのデザインは劇的に改善されます。
まずは、あなたが次に作るSNS投稿や資料で、どんな要素を「反復」させるか考えてみてください。そして、それを実行してみてください。きっと、あなたのデザインがよりプロフェッショナルで、情報が伝わりやすいものに変わることを実感できるはずです。
さあ、今日からあなたのデザインに「反復」を取り入れ、見た目の力を最大限に引き出しましょう。