見てほしい情報がすぐ伝わる!Webサイト・資料の『レイアウト』基本パターン【非デザイナー向け】
あなたのWebサイトや資料、「どこを見てほしいか」伝わっていますか?
日頃からSNS投稿や広告クリエイティブ、プレゼン資料、社内資料など、様々なビジュアル作成に関わる中で、「作ったものを見てもらったけど、いまいち伝えたいことが伝わらない」「情報がごちゃごちゃして分かりにくいと言われた」と感じたことはありませんか?
情報を詰め込んでいるつもりでも、相手にスムーズに理解してもらえないのは、もしかしたら「デザイン」の、特に「レイアウト」に原因があるのかもしれません。
レイアウトと聞くと難しく感じるかもしれませんが、簡単に言えば情報をどのように配置するか、その「設計図」のようなものです。この設計図がしっかりしていると、読み手は迷うことなく、あなたが見てほしい情報、伝えたい情報を効率的に受け取ってくれます。
この記事では、デザインの専門知識がない方でもすぐに理解できるよう、「なぜその配置が良いのか」という理由とともに、Webサイトや資料作成に役立つ基本的なレイアウトの考え方とパターンをやさしく解説します。この記事を読めば、あなたの作るものが「なんか分かりやすいな」と感じてもらえるようになるはずです。
レイアウトとは何か? なぜそれが重要なのでしょう?
レイアウトとは、ページや画面の中に、見出し、本文、画像、ボタンといった様々な要素を配置する構成のことです。家を建てる時の間取り図のようなものと考えていただくと分かりやすいかもしれません。
では、なぜレイアウトが重要なのでしょうか? それは、人間の情報の受け取り方、特に視線の動きに深く関わっているからです。
人は、文章を読む時も、Webページを見る時も、無意識のうちに一定のパターンで視線を動かしています。この視線の動きを理解し、それに沿って情報を配置することで、読み手はストレスなくスムーズに情報を追いかけ、あなたが伝えたいメッセージを効果的に受け取ることができるのです。
逆に、視線の動きを無視したバラバラな配置だと、どこから見れば良いか分からず、重要な情報を見落とされたり、内容が頭に入ってきにくくなったりします。
伝わるレイアウトを作るための「視線の基本」
Webサイトや多くの資料で、私たちが情報を読み取る際の基本的な視線の動きには、いくつかのパターンがあることが知られています。特に代表的なものを2つご紹介します。
1. Zの法則
多くの人は、Webページなどを開いたときに、まず画面の左上を見ます。そこから右に視線を移し、端まで行ったら今度は斜め下に視線を落とします。そして再び右に視線を動かし、左下へと流れていきます。この視線の動きがアルファベットの「Z」のような形を描くことから、「Zの法則」と呼ばれています。
これは、左から右へ、上から下へという文章を読む習慣が影響していると考えられています。
【活用例】 * Webサイトのファーストビュー(一番最初に表示される画面) * 広告バナー * キャッチコピーと主要な画像、そしてCTA(資料請求はこちら、購入はこちら、など次に起こしてほしい行動を促すボタン)を効果的に配置するのに役立ちます。 * 左上:最も伝えたいキャッチコピーやサービス名 * 右上:補足情報や問い合わせ先 * 真ん中あたり斜め下:商品やサービスの写真、説明文 * 右下または左下:CTAボタンや詳細へのリンク
2. Fの法則
文章量の多いWebページやブログ記事などを読む際によく見られるのが「Fの法則」です。これは、読み手がまず左上から読み始め、右に流れるように読み進めます。次に少し下に視線を移し、また右に読み進めますが、最初の行ほどは右端までしっかり読まず、途中で終わることが多いです。これを何度か繰り返すうちに、最終的にページの左側を中心に視線が固定される傾向があります。結果として、視線の軌跡がアルファベットの「F」のような形に見えます。
これは、人は情報を効率的に得るために、見出しや段落の冒頭、箇条書きの先頭などを拾い読みする傾向があるために起こります。
【活用例】 * ブログ記事やニュース記事の本文 * Q&Aや箇条書きリスト * サービスの特徴リスト * 重要なキーワードや見出しを各段落の左側に配置する。 * 箇条書きを使う際は、リストの項目を左端に揃える。 * 本文中の太字やハイライトも、比較的左寄りに配置されたものに視線が集まりやすい。
これらの法則を知っていると、「最も見てほしい情報はどこに置くべきか」「視線をスムーズに誘導するにはどうすれば良いか」というレイアウトの基本的な考え方が見えてきます。
その他の基本的なレイアウトの考え方
Zの法則やFの法則は視線の動きに着目したパターンですが、コンテンツの性質や目的に合わせて様々なレイアウトの考え方があります。
シングルカラム
コンテンツ全体を中央に配置し、左右に余白を設けるシンプルなレイアウトです。スマートフォンサイトなど、画面幅が狭い場合に自然とシングルカラムになります。
【特徴と向いている場面】 * 特徴: 情報が一直線に並ぶため、視線が迷いにくく、コンテンツに集中させやすい。シンプルで洗練された印象を与えます。 * 向いている場面: ストーリーを読ませたいブログ記事、ランディングページ、余計な情報を排除したいシンプルなWebサイトや資料。
マルチカラム
画面やページを縦に複数の列(カラム)に分けて情報を配置するレイアウトです。一般的にWebサイトでは2カラムや3カラムが多く見られます。例えば、左にメニュー、中央に本文、右に広告や関連情報といった構成です。
【特徴と向いている場面】 * 特徴: 多くの情報を整理して表示できる。サイドバーにナビゲーションや関連情報を配置することで、ユーザーが様々な情報にアクセスしやすくなります。 * 向いている場面: 情報量が多いWebサイト(ニュースサイト、ブログなど)、複数の要素を並べて比較したい資料。ただし、情報が多すぎるとごちゃごちゃしやすいため、情報の優先順位付けと適切な区切り(近接、余白)が重要です。
グリッドレイアウト
画面やページ全体を均等なマス目に区切り、そのマス目に沿って要素を配置する考え方です。厳密なグリッドシステムを組むのは少し専門的ですが、「頭の中で縦横に線を引いて、マス目を意識する」だけでもレイアウトは格段に整理されます。
【特徴と向いている場面】 * 特徴: 全体に統一感が生まれ、整然としたプロフェッショナルな印象を与えます。複数の要素を規則正しく並べるのに適しています。 * 向いている場面: ポートフォリオサイトの作品一覧、商品カタログ、統計データや表を含む資料、複数のサービス特徴を並べるWebサイト。
具体的な業務での応用例
ご紹介したレイアウトの基本を、あなたの普段の業務でどのように活かせるか考えてみましょう。
例1:SNS投稿画像
伝えたいメッセージ(キャッチコピー)、画像、そして「いいね!してね」や「詳しくはプロフィールのURLをチェック!」といった呼びかけ(CTA)を配置するとします。
- Zの法則を活用: 画像の上部左にキャッチコピーを大きく配置。画像の中央に商品やサービスの写真を配置。画像の下部右にCTAのテキストやアイコンを配置。これにより、視線がキャッチコピー→画像→CTAとスムーズに流れます。
- 近接と整列も意識: キャッチコピーは数行であれば近くにまとめ、左端を揃える。画像は画像としてまとまり、CTAもテキストやアイコンを近くにまとめて配置する。
例2:プレゼン資料のスライド
1枚のスライドで複数の情報を伝えたい場合。
- マルチカラム(2カラム)を活用: スライドを左右に分け、左側に関連する画像やグラフ、右側にその説明文(箇条書き)を配置する。視線はまず左の画像を見て、次に右の説明文を読むという流れになります。
- 情報の階層を意識: スライドのタイトルを一番上に大きく配置し、次に大見出し、本文と下にいくほど文字サイズを小さくする。これは情報の重要度(階層)をレイアウトで示しています。特にFの法則のように、左側に重要な見出しを配置すると、読み手がスライドの内容を素早く把握しやすくなります。
例3:広告バナー
限られたスペースでクリック率を高めるために、伝えたいメッセージとCTAを効果的に配置する必要があります。
- Zの法則を活用: バナーの左上に短いキャッチコピー、中央に目を引く画像やイラスト、右下または中央下にCTAボタンやテキストを配置します。このシンプルで分かりやすい流れが、ユーザーのクリックを促します。
- コントラストも重要: 背景色とキャッチコピー、CTAボタンの色に大きな差(コントラスト)をつけることで、視線を引きつけ、重要な情報を目立たせます。
例4:社内資料(企画書など)
複数のセクション(目的、現状分析、提案内容、スケジュールなど)がある企画書。
- グリッド的な考え方で整理: 各セクションのタイトルと内容を、まるでノートのマス目に沿って配置するかのように、一定の間隔を空けて並べる。これにより、各セクションの区切りが明確になり、全体が整然として見えます。
- 近接と整列を徹底: 同じセクション内の情報は近くに集め(近接)、見出しや本文の開始位置、画像の端などを揃える(整列)。これにより、情報同士の関係性が分かりやすくなり、読み手が内容をスムーズに理解できます。
レイアウトを作るための実践的なヒント
いきなりプロのようなレイアウトを作るのは難しいかもしれませんが、いくつかの簡単なステップで、あなたのデザインは格段に改善されます。
- 目的とターゲットを明確にする: 「この資料で何を伝えたいのか?」「誰に見てほしいのか?」を最初にしっかり考えましょう。これが決まると、必要な情報と、その中で特に重要な情報の優先順位が見えてきます。
- 情報の優先順位を決める: 伝えたい情報の中で、最も重要度が高いものは何ですか? 次に伝えたいことは? それほど重要ではないけれど載せておきたい情報は? 優先順位が高い情報ほど、大きく、目立つ色で、視線が集まりやすい場所に配置します。
- ラフな「ワイヤーフレーム」を描いてみる: 清書する前に、手書きやPowerPointの図形、シンプルな図形ツールなどで、見出し、本文、画像などの配置場所だけを決めるラフスケッチ(ワイヤーフレームと呼びます)を描いてみましょう。実際に配置を考えてみることで、情報の流れやバランスを確認できます。
- 既存の良いデザインを参考にする: あなたが「分かりやすい」「見やすい」と感じたWebサイトや資料、広告バナーなどを参考にしてみましょう。どのようなレイアウトになっているか、どのような要素がどこに配置されているか、観察することで多くのヒントが得られます。全く同じにする必要はありませんが、良いと思った構成を参考に、自分のコンテンツを当てはめてみてください。
デザイナーとの連携にも役立ちます
基本的なレイアウトの考え方を理解していると、もしデザインを外部のデザイナーに依頼する場合にも、コミュニケーションがスムーズになります。
「この情報はZの法則を意識して、最初に視線が集まる左上に配置したい」「このリストはFの法則のように、左側に情報を並べる形で整理してほしい」といった具体的な指示が出せるようになります。また、デザイナーからの提案に対して、「なぜこのレイアウトなのか」という説明をより深く理解できるようになり、建設的なフィードバックが可能になります。
デザイン原則の理解は、単に自分でデザインできるようになるだけでなく、プロのデザイナーと円滑に協力するための共通言語にもなるのです。
まとめ:レイアウトは「伝わる」ための設計図
Webサイトや資料作成におけるレイアウトは、情報を単に並べるのではなく、「いかに効率的かつ正確に情報を伝えるか」という視点から考えるべき重要な要素です。
- 人の視線の動き(Zの法則、Fの法則など)を理解し、それに沿って情報を配置することで、読み手は自然と伝えたい情報にたどり着けます。
- シングルカラム、マルチカラム、グリッドといった基本的なレイアウトパターンを知っていると、コンテンツの性質に合わせて効果的な構成を選べます。
- これらの考え方を応用し、目的や情報の優先順位を明確にしてラフスケッチ(ワイヤーフレーム)を描くことから始めてみましょう。
難しい専門知識は必要ありません。まずはあなたが普段作成している資料や投稿画像で、最も見てほしい情報を「どこに置くのが一番効果的かな?」と考えてみてください。そして、今回ご紹介した視線のパターンやレイアウトの考え方を少しだけ意識して配置を変えてみてください。
その小さな一歩が、あなたのデザインを「なんとなく良い感じ」から「意図通りに伝わる」ものへと変えていくはずです。ぜひ、今日から試してみてください。